TPP断固反対を掲げて総選挙を闘い、選挙が終わったら甘利さんがTPP協議に参加、安倍首相は国会答弁で「私自身、TPP反対と言ったことは1回もない、ただの一回もございませんから・・・。」と言いました。自民党が選挙前にこのポスターを貼りだして選挙闘ったんですよ。そして、安倍さんが自民党総裁なわけです。安倍さんが言葉として「TPP反対」と言ったかどうかは問題じゃないでしょう。政党の公約をポスターにしたんじゃないんですか!と言いたい。そうでないとすれば、自民党という政党は、単に票集めのためだけに「TPP反対」という、心にもないことをあたかも選挙公約のようなふりをしてポスターを作って貼りだしたのだということを安倍さんが認めたようなもの。
つまり、まあ自民党の選挙公約というのは国民を欺くための欺瞞に満ちたものだということが前回の選挙で証明されてしまった。
ということで、どこまで政党としての本音、言いたいことが書かれているのか怪しいという目で読まなければならないというのが自民党の公約なのだ。だから、あまり読む気にならなくて、やっと今日になってそうはいっても読んでおこうかということにあいなった。
自民党の6つのポイントを見ておきたい。
最初に、憲法改正。前回の選挙の時に憲法改正を言わず、今年の憲法記念日に憲法改正をめざすことを首相自ら語った。その時に批判が集まりましたよね。公約にしていないのにこんな重要なことを突然言い出してどういうことか、という批判です。そのため、今回は明確に公約でうたうことにしたということか。しかも原案を発議し、初の憲法改正を目指すと強調しており、今回の選挙で過半数を取るようなことがあれば、本気で憲法を変えるつもりだという意思がこめられているようにみえます。
自衛隊が違憲か合憲かという問題はさておき、現実に自衛隊が存在し、軍事費に5兆円もの国家予算をつぎ込んでいます。自衛隊を中心として個別的自衛権を行使すれば専守防衛は可能。軍隊を持たないという憲法9条に、3項として自衛隊を持つことを明記するとしているが、現憲法の平和主義に反するものであって、そのこと自身が憲法違反でしょう。
二つ目のポイントが安全保障。ここでは防衛力の拡充強化を打ち出していますが、すでに5兆円もの大金を軍事費に使っているにもかかわらず、さらなる拡充をするというわけです。憲法の絶対平和主義に基づき、自衛隊は災害救助隊に、軍備は徐々に縮小していって、憲法の定めの通り軍隊も兵器も持たない国を目指すべきだと私は思う。北朝鮮が先軍政治をうたい、核兵器の開発に向かっている状況の中で、軍隊を持たなければ、軍備を拡充しなければ侵略されてしまうではないかという意見があります。しかし、日本が軍備拡大を進める中で(実際に朝鮮併合の歴史がある。)それへの対抗として北朝鮮も先軍政治を進めてきたという歴史的経過を見れば、日本がまず軍備を放棄することで、北朝鮮が振り上げた拳を下ろすきっかけとすることができるのではないか。あくまで憲法9条の立場に立って、話し合いによる平和的友好関係作りが外交というものではないのか。気に入らないから、話し合いもせずに、まずは圧力をかけて向こうが喧嘩を売ってくるのを待つみたいなやり方は、私には軍国主義へつながる道のように見えます。
三つ目のポイントが経済・雇用。2020年までの3年間を生産性革命の「集中投資期間」にするといっているが、具体的な政策には見えないし、それ自身投資する余力のある大企業に対する政策でしょう。国民に対してはどうかといえば「同一賃金同一労働」等を推進し最低賃金1,000円をめざす、とある。私は、雇用問題ではこの間労働者の権利を切り捨ててきた歴史を総括し、派遣や非常勤などの不安定雇用の人たちを、希望すれば正規職員になれるようにし、失業対策を充実し、自己都合退職であっても、例えば1年以上継続して働いてきた実績があればすぐに失業手当を支給し、生活困窮に陥らないように下支えし、不足している産業分野への就労をすすめるなど、もっと積極的な就業支援を行うことを優先するべきだと考えます。最低賃金だって1,000円じゃ安すぎますよね。
四つ目が子育て・教育、五つ目が財政で、「全世代型社会保障」と言ってますが、社会保障はもともと全世代共通に保障されるべきもので、新しい表現で目先を変えただけのように見えます。幼稚園・保育園・教育の無償化に向けて努力すると言っていますが、財源では消費税を10%に引き上げることのみ。日本は所得の再分配機能が弱く、貧富の格差が拡大しています。大企業の内部留保も、消費税の引き上げに合わせて行われている法人税率の引き下げ等で、増え続けている実態があります。大企業、大金持ちの富の源泉は、低賃金・長時間労働で働く労働者の労働からの搾取なわけで、彼らに応分の負担を求めるのは当然のことでしょう。基幹となる税金は所得税と法人税であり、それを基本に税率の設定を見直すことで、所得の再配分機能を高めることが求められていると思います。その観点で、社会保障制度の仕組み全体を見直し、あらためて制度設計してみることが必要です。
六つ目にエネルギー問題。ここでは東日本大震災であれだけ痛めつけられたのに、それでもまだ「原子力発電所の再稼働」を掲げるのか!という怒りにも似た感情がこみあげてきます。使用済み核燃料の処理ができず、全国の原発の敷地内に使用済み核燃料が溜まっているのに、その問題を解決せずに新たな使用済み核燃料を増やすのかが問われています。しかも、ひとたび自然災害によるシビアアクシデントが発生すればどんなことになるのかという経験はすでに福島でしているわけで、何故、そんな危険な原発にこだわるのか理解できません。国民の安全や安心をないがしろにしてまで進める原発政策、古い利権にとらわれることなく、直ちに見直すことが正しいと思います。
以上、自民党の公約を批判的に検証してみました。いろいろと考えるきっかけとなってよかったわ。
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