日本維新の会の選挙公約を読む。「2017維新八策」という8つの柱からなるその公約の冒頭に掲げられているのは「身を切る改革」。何の身を切るのかというと国会議員自ら身を切らなければならないという。松井代表がよく言う、庶民に負担を求めるなら、その前にまずは国会議員自ら身を切るべきだというあれですね。中身はといえば、議員報酬の3割カット、公務員の人件費2割カット、公務員制度の改革で「身分」から職業へ、競争力を高める徹底した競争政策・・・等々。
国会議員の報酬が高すぎるという指摘をしているわけではないけれど、私は、日本の国会議員の報酬は高すぎると思う。国会図書館政治議会課がまとめた国会議員の年間歳費(給与)を見ると、ダントツで高いのが日本で、2,363万円、次にアメリカの1,334万円、三番目がドイツの800万円、次がフランスで680万円、イギリスに至っては493万円にすぎない。どれだけ日本の政治家がお手盛りでやってきたかということだろう。維新の会はこれを3割カットすると言っているが、3割カットしたってまだアメリカよりもはるかに高いのだ。しかも何故3割カットなのかという根拠はない。
私なら、国税庁の発表している平均年収を根拠に、国会議員報酬は420万円にする。もちろんこれはいわゆる給与部分で、議員活動に係る経費は保障されるべきだとは思うけれども、給与として支払われるのは、それで十分ではないか。議員報酬をあげたければ平均年収を引き上げればいいわけで、そうしたら本当の意味で国民の懐を温める政策が出てくるのではないかな。そんな給料でやってられるかという御仁は、さっさと政治家から引退していただいたらよろしい。そうやって、報酬の高低に関わらず、真摯に国民の安全と安心を追求してくれる本来の政治家らしい人だけが残るようにしたらいいのだ。
維新の会も、このくらい大胆な提案をしてくれないと、身を切るったって3割ぐらいじゃ切られた痛みも感じないだろう。それほど議員歳費が高いんだからね。
次が「機会平等社会のための教育の無償化」。いいこと言ってるなと一瞬思うでしょう。でもねここでも規制緩和なんですよ。新自由主義的政策を打ち出しているわけです。例えば、聞きなれない言葉ですが保育バウチャーの導入。これが何を意味しているかというと、保育園を社会福祉法人にしかやらせないという制度が待機児問題を生んでいるので、株式会社にも自由に子どもを預かる施設を作らせて、一定の基準を満たす施設に子供を預ける親にクーポン券を渡してそれを使って利用料の一部を払えるようにするという仕組みなんだね。さあ、これで何が起こるかすでに私たちは経験済みですよ。営利企業に子供を預かる施設をやらせたら間違いなく保育環境の悪化をもたらすことになると思うよ。だって、株式会社が事業をやる理由は、株主のための利益追求なんだから。保育の場に効率や合理性といった経営主義的な発想が持ち込まれ、それが保育環境を悪化させる方向に作用するのは間違いない。
タイトルには賛成だけど、個別政策には問題だらけで評価できない。
三つめが「”働く”を支援する生涯活躍改革」。もとより私は生涯現役で働くことがモットーで、サンデー毎日への憧れなんかこれっぽっちもない人間なので、ぱっと見これ良いなぁと思った。私なら、この間改悪され続けてきた労働法制を、憲法の視点でしっかり見直し、労働時間を大幅に短縮し雇用を創出、定年制などなくしてしまって働く意思と能力がある人はずっと働けるようにする。年金は保険料を払ってきたかどうかにかかわらず、一定の年齢になり働いていなければ生活できる年金額が支給され、年金をもらいながらボランティア活動などで共生社会の一員としてその役割を果たすという選択も可能とする。そんなことが書いてあるのかと思いきや、「受益と負担を均衡させる」とか、「年金は積み立て方式にする」とか、「世代間配分から世代内配分に」など、金の話しか書いていない。これではタイトルに偽りありだよ。生涯活躍なんて夢のまた夢だ。
次に「時代に適した”今の憲法”へ」として、教育の無償化、道州制、憲法裁判所、国際情勢に対応して国民の生命・財産を守る9条改正等が並ぶ。教育の無償化は現憲法でもやれる話だし、道州制は国民が求めている課題とは思えないし、憲法裁判所なんてなくても現行司法制度で十分対応できている。とすると、ようは戦争の危機をあおって戦争のできる国にしたいってことだけだよね。何が時代に適した憲法へだ。ちゃんちゃらおかしい。そんな理屈はとうの昔に東西冷戦の時代が終わった時に破綻しているんだわ。北朝鮮が新たな脅威に見えているとすればよっぽど時代を見る目がないってことだと思うよ。北朝鮮はアメリカしか見ていないでしょう。私は、日本は目障りだけど北朝鮮の敵ではないとみなしていると思いますよ。今でも、北朝鮮とアメリカの間に挟まって右往左往しているだけで、外交努力をしているようには見えませんよね。
う~ん、だんだん読むのが嫌になってきた。これりゃあ駄目だわ。と云いながらこんなことを書いている私も今日は全然だめだね。いくら評価できない文書とはいえ自分の文章はもっときちんと書くべきでした。反省。
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