2018年5月30日水曜日

鯖とイワシを喰おう

2018年5月30日付 しんぶん赤旗

 しんぶん赤旗の小さな囲み記事だが、ここに実は地球規模での気候変動が反映している。深層の大循環という言葉を聞いたことがあるだろうか。またの名を提唱者の名前をとって『ブロッカーの深層水のコンベヤーベルト』という。
 表層水が深層に達するまでに強く沈降する海域は、北大西洋のグリーンランド沖と南極付近のウェッテル海に限られている。グリーンランド沖でできた深層水は大西洋から南極まで南下して、南極付近にできた深層水と合流した後、南極大陸の周りを通ってインド洋と太平洋を巡っていく。深層水の流れは非常にゆっくりしており、蝸牛の移動速度よりもはるかに遅い時速3.6mほどだ。表層海流、例えば黒潮は4ノットくらいの速さで流れているというから時速7kmを超えているわけで、深層水の流速がいかに遅いかわかる。
 この海水を運ぶベルトコンベヤーが地球の温暖化でストップしたら、ストップはしないまでも流速が遅くなったり、流れが変化したら、それだけで地球の気候変動や食料供給に大きな影響が出る。私たち地球に生きているものすべての生命が危機に直面することになりかねない。

 日本の漁業の不振の背景には、実は、こうした深層の大循環がわずかに変化し、表層海流の流れが少し変わったことが影響しているのではないか。私は、そんな問題意識でこの問題をとらえている。だから、イカやサケ、サンマなどの不漁が目立つようになり、サバとイワシの漁獲が多いのではないかと。

 ところが、サバとイワシの消費量は、4割、2割と減少している。そこで、サバとイワシをもっと食べてもらおうという工夫が各地で始まっている。北海道釧路市では秋刀魚に替わる水産加工品として今春からイワシの菜の花漬けを発売した。

 う~ん、旨そうだ。一度、このイワシの菜の花漬け、食べてみたいものだ。

例外条件にご注意を

2018年5月29日付 しんぶん赤旗

 注意しないといけないですね。私も、実は、Amazonの通販で商品を頼んだ時、プライム会員加入で10%offで送料無料というので商品を頼んだら、商品と会員加入がセットになっていて、自動的にプライム会員になってしまったということがありました。クレジットカードで請求されて気づき、すぐに解約したので会費を払わずに済みましたが、こういうセット販売もそうですが、広告で『無料』などとしておきながら、無料の範囲はすごく限定的で、結局、無料となる人はいるのかというような話から、注意書きに例外条件(つまり無料とならない場合)が書かれているのを見落として、実際は有料で注文してしまうなんてことがあるんですね。
 この記事によると、アンケートに答えた約4割が「打消し表示」を見落として注文してしまったことがあると回答したそうです。私の場合もそうですが、「注意書きを読み飛ばす」こともあれば、「初回限定という文字が小さくて気づかなかった」ということもあるようです。
 「うまい話には裏がある」と何でも疑ってかかるのもいかがなものかという気もしますが、通販での購入はこういう落とし穴があるということを知っておいて損はないです。私も、一度失敗して以来、うまい話の時は隅々まで注意深く見て、落とし穴がないかどうかを確認してから前に進むようにしています。そうすると、けっこう隠れているもんですよ。落とし穴が!

2018年5月24日木曜日

都市への人口集中と限界集落

2018年5月22日付 しんぶん赤旗

 国連は、5月16日に公表した報告書の中で、世界の人口の68%が都市で暮らすようになると、人口の都市集中を予言しています。
 そして、世界最大の都市圏は、現在、通勤圏も含めて人口3,700万人を抱える東京と認定しました。都市圏として東京に続くのは、ニューデリーの2,900万人、上海の2,600万人、サンパウロやメキシコ市の2,200万人、カイロやムンバイ、北京、ダッカも約2,000万人です。このうち、インド、中国、ナイジェリアの3か国が特に2050年までに都市部の人口増加が著しいと国連はみています。

2018年5月20日付 しんぶん赤旗

 人口何千万人の話の後は、人口数人という話。広島県の北西部に位置する安芸太田町那須。住民は4世帯6人で、全員が78歳以上です。しかも、冬の間の住民はわずかに2人になります。他の4人は冬場、10㎞程離れた戸河町内の高齢者住宅「サポートセンターふれあい」に身を寄せたり、広島市内の子どもの所で過ごし春になると那須へ戻ってきます。

 そんな限界集落の営みを伝える記事を興味深く読みました。

 都市での暮らしと、田舎の暮らし、どちらが正しくて、どちらが人間らしくて・・・などと言うつもりは全くありません。都市に暮らしても、限界集落に暮らしても、どちらもその人らしい暮らしのあり方なのでしょう。そうした一人ひとりの暮らしを守っていくこと、抱えている困難を解決する道筋を見つけていくこと、そいうことができる社会であってほしいと私は考えています。

カギは下からの創生


2018年5月20日付 しんぶん赤旗

 しんぶん赤旗の書評欄が面白い。先日、本と話題で地域再生へのヒント、カギは「下からの創生」と題して3冊の本が紹介されていた。どれもまだ読んだことがない本ばかりが並んでいて、興味深く記事を読ませてもらった。
 私は、地域共同体を再生し、誰もが安心して暮しつづけることのできるまちを作ろうと活動をスタートさせたわけだが、ここには、まさに私が考えている地域再生の具体的な実践、地域おこしのヒントがあふれているような気がした。この三冊、県立図書館で借りて読んでみたいと思う。
 もともと私は、本は借りる派ではなく買う派だ。しかし、断捨離実行で今では本棚2本分以上本は増やさないと決めている。そこで、図書館を利用する機会が増えているのだが、出かけて行かなければならないという問題を除けば、実に便利だ。個人ではとてもストックできないほどの書籍や資料、画像データまであって、複製を作ってくれるし、至れり尽くせりのサービスだ。
 しかも岡山県立図書館は都道府県立図書館の中で利用者数日本一という素晴らしい図書館なのだ。身近なところにこんな素敵な図書館があるのだから使わない手はない。

2018年5月22日火曜日

ベースロード電源は不要

 ベースロード電源とは何か?海外文献でベースロードの定義を見ると次のように書かれています。
Base Load: The minimum amount of electric power delivered or required over a given period at a constant rate.
 愛用している翻訳ツール(Google翻訳)によると「所定の期間に一定の割合で供給または必要とされる電力の最小量。」ということになります。このベースロードを供給するのがベースロード電源です。しかし、このベースロード電源については、海外ではすでに過去のものだとする説が有力になっています。例えば『ベースロード電源は21世紀にふさわしいか?』と題したEnergy Democracyのホームページを読むと「再生可能エネルギー(以下、再エネ)が大量に導入された場合は石炭火力や原子力を硬直的に一定出力することが難しくなり、ベースロードという概念にとって代わる柔軟な系統運用が必要であることが示唆され」ています。
 要するに、太陽光の有無に左右される太陽光発電や風が吹くかどうかに影響を受ける風力発電などで電力をまかなう場合、曇りの日や夜間、無風の日の電力需要に対応して電力を供給する発電が必要となるわけですが、原子力や石炭火力などでその一定の期間の必要最小量の発電をしようというベースロー電源は、いったん発電が始まったら発電量をコントロールできない原子力発電では、発電量が不足するときにのみ発電するといった柔軟な運用ができないので、そもそもベースロード電源という考え方はとらないという国が増えているというわけです。

 日本は相変わらずベースロード電源としての原子力に固執し、30年先でもまだ原発をベースロード電源として使うと言っているわけですが、再生可能エネルギーが主力発電の国が増えつつある中で、日本のエネルギー計画は、世界から遅れているだけでなく、東京電力福一原発の事故から何も学ぼうとしない姿勢にしか見えません。
2018年5月17日付 しんぶん赤旗

2018年5月14日月曜日

初心忘るべからず

 先日、古い友人と酒を酌み交わす機会があった。その時に、「貴方はブローカーであり、デベロッパーなんだから、リラクゼーション・セラピストなんか似合わない。ブローカー、デベロッパーであるべきだ。」と言われた。私がブローカー(仲買人)だ、デベロッパー(開発者)だという指摘が当たっているのかどうかという疑問が無いわけでもないが、少なくとも彼のいうようにセラピストという柄じゃいないのは間違いない。
 でもね、揺れるんですよ。何とかする自信があって自立したわけだけれど、そう簡単に仕事になるわけも無く、苦戦が続く中で、ふっと魔が差したようで(勿論それだけではないのだけれど)、目先を変えてみようとリラクゼーション・セラピストの研修を受けたのだった。それはそれで面白いのだけれど、何だか自分のやりたいこととはやっぱり違うとも思いながら、実際に、店舗でサービスに携わるようになってもいた。そこに冒頭の話ですよ。
 一寸衝撃を受けたね。やっぱりそうなんだなぁ。自分のやりたいこととは全く別物だよな、ということがすんなり腹落ちした気がした。初心を忘れては行けない。少しうまくいかない時間が続いたくらいで揺らいでちゃ駄目だね。彼と酒を飲みながら素直にそう思ったのだった。
 リラクゼーションのお店の方も、すでにローテーション入りしているので、急に辞めるわけにも行かないがローテーションから外してもらう方向で本部に調整してもらって、遠くない時期に本来自分がめざしていたことに集中できるよう整理しよう。そんな決意をしたのだった。
 持つべきものは良い友だね。忌憚の無い意見をはっきり言ってくれるし、それでいて、いざとなったら力を貸してくれる。なかなか良い時間を過ごさせてくれた友に感謝である。

 さてそこで、私は何をやろうとしているのか、あらためて整理しておきたい。私がめざしたいのは、「地域共同体の再生」である。新自由主義の考え方が日本の政治と経済を動かしている。国家による福祉・公共サービスの縮小、大幅な規制緩和と市場原理主義の重視の中で、日本で何が起っているのかといえば、自由な競争という名で国民の自由が奪われ、ごく少数者への富の集中と、圧倒的多数の国民の貧困化がすすんでいる。国民は一人ひとりに分断され、地域共同体も崩壊してしまった。地域共同体の崩壊が社会保障関係予算の増大につながっていることに気づいた厚労省は、最近になって「我が事、丸ごと」の地域づくりなどと言いはじめているが、元をたどれば国が地域共同体の破壊をすすめてきたのだ。
 私は、長く協同組合に身を置き、協同組合の現代的な課題は何かというようなことをずっと考えてきたが、1980年のレイドロー報告が私にとっては一つのバイブルになっている。彼が提起した「協同組合は未来の歴史を書く資格があるのか?」というテーマは、私にこれからの私の仕事を考える重要なテーマを与えてくれたのだ。
 私は世界の人々が協同することぬきに、未来の歴史は書けないと思っている。かといって世界に向けて、世界中の人々よ団結せよ、連帯せよ、と叫んだところで協同することにはならない。生活圏を同じくする人たちを共同体として再生させていき、その小さな単位の共同体がつながって世界が一つにまとまっていくのだろうと思う。
 めざすは世界が一つになること。そしてそのために、まずは私も暮らすこの町で共同体を再生させること、それが私のやろうとしていることなのだ。あらためてそこを確認し、まずは何からはじめるのか、考えるところからはじめよう。といっても考えているだけでは何も変わらないので、動きながら、考え、方向を見定めて、動きを作り、そしてまた考えるという作業を繰り返しながら、めざすべきものを見失わずにやっていこう。

 何だかそんなことを考えるだけで楽しいじゃないか。

2018年5月7日月曜日

自治体の二層制

 高齢者人口がピークを迎える2040年頃に自治体が抱える行政課題や、その対応策を検討している総務省の「自治体戦略2040構想研究会」は4月26日第一次報告書をまとめ、野田聖子総務相に提出しました。
 日本の総人口は2008年の1 億2,808万人をピークに減少し始め、人口減少のスピードは加速し、国立社会保障・人口問題研究所の出生中位・死亡中位推計(平成 29年推計)によれば、2040年には1億1,092 万人に減少すると試算されています。その頃には毎年90万人程度減少すると見込まれています。
 出生数は、ついに年間 100 万人を下回りました。団塊世代(1947~49年生まれ)が生まれた頃は毎年260万人以上、団塊ジュニア世代(1971~74年生まれ)の頃には毎年200 万人以上の出生数でした。しかし、団塊ジュニア世代に続く第3次ベビーブームは現れませんでした。2017年には出生数94万人まで減少し、2040年には74万人程度にな ると見込まれています。
 高齢化は、三大都市圏を中心に急速に進行します。2015年に3,387万人であった高齢者人口(65歳以上)は、団塊ジュニア世代が全て高齢者となる2042年に3,935万人(高齢化率 36.1%)でピークを迎える見込みとなっています。75歳以上人口はその後 も2054 年まで増加し続ける見込みです。

 報告書は2040年ころにかけて東京・大阪・名古屋を中心とする三大都市圏は急激な高齢化局面に突入するとし、特に東京圏では膨大な医療・介護サービスが必要となり、地方から若者の流入が増えるおそれがあると指摘しています。その一方、中山間地では集落機能維持が困難となるような低密度化が発生するとしています。そのため個々の市町村が行政のフルセット主義を排し、自治体間で連携する必要性を強調しています。
 また、人口減少が先行して進んできた県では、県が市町村と一体に施策を展開する動きが起きていることに触れ、都道府県・市町村の二層制を柔軟化し、それぞれの地域に応じた行政の共通基盤の構築を進めていくことも必要となると述べています。

2018年5月1日付 しんぶん赤旗

被害者全員の救済を

 国策として進めてきた東京電力福一原発で世界でも最悪な過酷事故を起こしてから7年が経ちました。
 早稲田大学災害復興医療人類学研究所の辻内所長は震災支援ネットワーク埼玉などと共同して2012年以来避難者アンケート調査に繰り返し取り組んできました。辻内さんは「現在でも4割を超える人たちがPTSDの可能性があります。しかも、区域外避難(自主避難)をしている人たちも帰還困難区域の方々に匹敵する程の高いストレス状態にあり、絶対に対処しないといけない大きな課題です。」と指摘します。
 辻内さんはどういった要素がPTSDに影響を与えたかを分析しました。原発事故避難者は、事故などの一過性の激しいトラウマ体験が原因の「急性単発型」と、虐待のように繰り返しトラウマ体験にさらされる「慢性反復型」が組み合わさった複合型と見ています。そして、「社会的虐待ともいえる事態です。核心は、政府が住民からの意見をもとに避難すべき区域を決めるのではなく、誰が見ても不合理な帰還区域を決めていること」だと強調します。

 国際放射線防護委員会は緊急事態の時の放射線量を100mSv~20mSvと定め、収束して状況が安定した後の復旧時の放射線量を1mSv~20mSvの範囲で定めるよう勧告していますが、日本政府は復旧時でも20mSvを帰還しても良い基準として設定しました。これは論理的にも整合性のない政治決定で、政権は放射線から自身や子供を守るために避難した被害者に『自主避難者』のレッテルを貼って支援を打ち切ろうとしていますが、これは改めなければなりません。

 「責任は国家にある。」このことを明確にし、被害者全員が救済されるべきであることを忘れてはいけないと思います。

2018年4月26日付 しんぶん赤旗