2017年12月30日土曜日

慰安婦問題をめぐる日韓合意

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が、昨日(12月28日)慰安婦問題は日韓合意では解決しないと表明しました。その前日、韓国外相直属の検証チームが検証結果を発表しています。
 それによると、合意をめぐる交渉は朴槿恵(パククネ)大統領(当時)と安倍晋三首相の側近2人による「秘密交渉」で進められ、元慰安婦の意見が十分反映されなかったと指摘しています。「政府間で最終的・不可逆的解決を宣言したとしても問題は再燃するしかない。」と言及し、記者会見で発表した内容のほかに「非公開の内容」があったとの指摘もあります。
 非公開部分では、日本側は韓国政府に対し、ソウルの日本大使館前に慰安婦問題を象徴する少女像を建てた市民団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」(挺対協)を説得する▽第三国での元慰安婦の追悼碑設置などを支援しないことを約束する▽国際社会で「性奴隷」という表現を使わない――の3点を要求。韓国側は消極的ながら受け入れていたとし、「不均衡な合意が一層不均衡になった」と結論づけました。
 当然、政府間合意の見直しであり、日本政府は反発していますが、「被害者の視点を欠いていた」とする報告書の指摘について、謙虚に耳を傾ける必要があるでしょう。黙殺するだけなら、韓国の世論を刺激し、合意見直しを求める声が高まるかもしれません。それは北朝鮮情勢が緊迫している中で、あまり得策とはいえません。

【日韓合意】
 日韓両政府は、2015年(平成27年)12月28日の日本の岸田文雄外務大臣と韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外交部長による外相会談後に行われた共同記者発表で、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認すると表明し、岸田外相は「当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している」と強調、「安倍晋三首相は日本国の首相として、改めて慰安婦としてあまたの苦痛を経験され心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する」と語り、尹外相は「両国が受け入れうる合意に達することができた。これまで至難だった交渉にピリオドを打ち、この場で交渉の妥結宣言ができることを大変うれしく思う」と述べ、韓国政府が元慰安婦支援のため設立する財団に日本政府が10億円拠出し、両国が協力していくことを確認した。会談では、日韓両政府が今後国連など国際社会の場で、慰安婦問題を巡って双方とも非難し合うのを控えることも申し合わせが行われた。

 以下、日韓合意の内容。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1 岸田外務大臣
 日韓間の慰安婦問題については、これまで、両国局長協議等において、集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき、日本政府として、以下を申し述べる。
(1)慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。  安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。
(2)日本政府は、これまでも本問題に真摯に取り組んできたところ、その経験に立って、今般、日本政府の予算により、全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には、韓国政府が、元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。
(3)日本政府は上記を表明するとともに、上記(2)の措置を着実に実施するとの前提で、今回の発表により、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。  あわせて、日本政府は、韓国政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。

2 尹(ユン)外交部長官
 韓日間の日本軍慰安婦被害者問題については、これまで、両国局長協議等において、集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき、韓国政府として、以下を申し述べる。
(1)韓国政府は、日本政府の表明と今回の発表に至るまでの取組を評価し、日本政府が上記 1.(2)で表明した措置が着実に実施されるとの前提で、今回の発表により、日本政府と共に、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は、日本政府の実施する措置に協力する。
(2)韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する。
(3)韓国政府は、今般日本政府の表明した措置が着実に実施されるとの前提で、日本政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。

2017年12月29日金曜日

貴乃花親方理事降格

 貴乃花親方の理事解任を相撲協会の理事会が決めた。貴乃花親方はむしろ被害者側なのに、加害者側である伊勢の浜親方と同じ処分では重すぎるのではないかという論調が多いような気がするが、それは違うだろうということで一寸書いておきたい。

 鳥取巡業は巡業部長である貴乃花親方が全体の責任者として帯同していた。その巡業先で力士同士の喧嘩が起った。単なる喧嘩で済ませることができる範囲を超え、被害者は頭頂部に9針縫うほどの裂傷を負った。部屋の親方としては警察に被害届を出したことは間違ったとは思わない。しかし、もう一方の巡業部長という立場でいえば、当然のこととして相撲協会に正直に報告するべきだった。

 貴乃花親方が相撲協会に不信感を抱いていたとされているがそんなことは関係ない。貴乃花親方自身協会の理事であり、相撲協会の意思決定に加わっている一人なのだ。警察に被害届を出しているわけだから、警察の捜査が進めば何が問題なのかは自ずと明らかになる。相撲協会が曖昧な解決をめざしたところでそれはできない相談なのだ。だからこそ、貴乃花親方は自分の把握している出来事を正直に報告するべきだった。相撲協会が有耶無耶にする恐れがあると感じたのなら文書で提出すれば良い。いざとなったらその文書をマスコミに提供して取り上げてもらう等やり方はいくらでもある。

 私は、事件の端緒から貴乃花親方の協会理事・巡業部長としての責任放棄がこの事件の処理をズルズルと長引かせた直接の原因だと考えている。

 例えば、東京本社の全国的に有名な大企業が、鳥取県への営業活動に、営業本部をあげて、いくつもある課の課長とそのスタッフの参加する大きな営業チームを編成し、その責任者として常務を帯同させたわけですよ。そこで課ごとの縦割りではなく、例えば鳥取県人会のような宴席で大げんかが勃発して、警察ザタになった。全国的に名前の売れている会社だから事が公になると他の県での営業にも影響が出るわけだから、当然本社に、取締役会に報告し、警察の捜査と同時に社内でも真相究明委員会を設置しようということになる。ところが、常務からの報告はなく、警察からの連絡で本社は初めて事件の重大さを認識し、真相究明委員会を設置した。
 怪我をさせた課長は自ら辞表を出し、その課長の上司である取締役部長も役員を辞任すると取締役会に進退伺いを出した。一方、担当常務は取締役会から事実関係を問いただされても、まともに応えない。直接の部下である被害者の事情聴取にも協力せず、被害者の部下が入院している病院も教えない。そんなことが起ったわけです。
 この担当常務は、間違いなく直近の取締役会で解任が提案され、おそらく、会社にもいられなくなりますよ。

 巡業部長が被害者の関取の親方だったことで貴乃花親方=被害者と見られていますが、それは違う。被害者は怪我をした関取、加害者は殴った元横綱で、伊勢の浜親方にも監督責任があるでしょう。そして、警察ザタになるような事件が起ってしまった責任は、相撲協会、直接的には地方巡業全体に責任を負う巡業部長ということです。だから責任を問われて当然なんですよ。
 加害者側の伊勢が浜親方と同じ処分では重すぎるという意見がありますが、伊勢が浜親方は理事の辞任届を理事会に出しているわけで、自ら責任を感じ、自分から理事を降りるという決断をした。そこが貴乃花親方と決定的に違う。貴乃花親方は自分の処分が決まる理事会では弁明に終始したと報じられているわけで、責任を感じている者と責任を感じていない者に対する処分が同じはずはない。責任を自覚していない者に対する処罰が重くなるのはやむを得ない事だろう。

 もっとおかしいと思うのは、八角理事長がわざわざ「次の理事選挙に出る事は可能」と説明した事なんですね。理事解任を決めたけど、その処分は実質的にはそんなに重い処分ではないからねと、何だか言い訳をしているみたい。誰に、何のための言い訳なのか意味不明。理事会が出した結論をあまり余計な解釈を含めずに淡々と伝えれば良かったのだと思うんだけどどうだろう。

 こんなことを書きながら、自分が意外に相撲が好きなんだということ感じているわけですよ。だからムキになってこんな事を書いているんだなぁ。

 そして、私が一番気にしているのは、貴の岩関がちゃんと復帰できるのかどうかという事ですね。モンゴル力士会のこと、相撲に対する価値観の微妙なズレ、怪我からの回復と同じモンゴル出身の元横綱からの受けた大きな怪我によるショックからの回復、マスコミのこの事件の扱い方、貴乃花親方の対応と本人の気持ちが一致しているのかどうか等々、色んなものを抱え込んじゃったからね。ただただ、元気に土俵に上がってくれる日を待ってますよ。

2017年12月27日水曜日

嘘も百回言えば真になる?

 SNSに沖縄で起きている米軍ヘリからの落下物があった問題で、実際に、落下物があるのに、「自作自演だ」とか「でっちあげだ」という嫌がらせ(?)電話が学校や保育園、教育委員会などに入っていることについて、「事実は事実であり変えることはできない。嫌がらに屈せずがんばれ」と書いたら、すぐに反応があった。曰く「事実かどうかの検証も済んでいないのに、何をもって事実というのか?」「保育園の移転計画があったのに反対派に潰されたのを知らないのか?」「基地も移転する予定なのに反対派がいて進んでいないことをどう考えるのか?」というようなことを厳しい口調(書きこみですが・・・)で指摘された。

 私は、「ヘリの窓が落ちてきたのはみんなが見ていることだし、保育園のヘリの部品のようなものだって米軍のモノだということははっきりしている。そういうすでに事実して認定されていることは、誰が何を言おうが変えることはできないという意味ですよ。また、保育園の移転計画があったのに反対派のおかげで移転できなかったということは知らなかったので、K園長に聞いてみます。」そして、「鳩山総理が普天間基地を最低でも県外移設といっていたのに、反対派によってそれが潰されたことは知っていますよ。」というようなことを返信した。さらに、何かを言ってくるかと思ったけれど、それで話はおしまいになった。

 でもね、ちょっと気持ち悪いなと思ったのは、琉球新報だったかの記事を引用して、書き込んですぐですよ、批判的な書き込みがあったのは。私はハッシュタグは使わない主義なので、検索では出てこないと思うし、新聞社の記事を追っていたのだとしても早すぎでしょう。米軍を批判する記事が書き込まれるのを見張っていて、すぐに圧力をかけてくるって感じですよ。
 翁長知事が、目の前で起きていることなのに、自作自演だなどという嫌がらせが続くことはこれまではなかったことだという発言をしていますが、歴史改竄にとどまらず起こっている事件までなかったことにしようというのはいくら何でも異常なことだと私も思います。そして、それは誰かがやらせていることなのか、誰かの思いを忖度した誰かが自己責任でやっていることなのか、気になるよね~。

 こんなことを書いていて思い出したことがある。そういえば麻生元総理が「ナチスに学べ」って言ってたね。その時に、ナチス・ドイツで“プロパガンダの天才“と呼ばれたヨーゼフ・ゲッベルスから学べということだとすぐに気づいたんだけど、彼が残した「十分に大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々は最後にはその嘘を信じるだろう」という言葉、ここから学んだのか??だけどね、100回言っても嘘は嘘ですよ。それとも「自作自演だ」と言い続ければ人はそれを信じちゃうのかな・・それこそ下手なオカルト映画よりも怖いことですね。

SNS専門用語??

 SNS上で良く分からない言葉の一つが「パヨク」。なんだパヨクって?「パヨクのツイート」云々とか、「パヨクのデモ」云々とか、「パヨクってバレバレ!」みたいに書いてある。文脈からすると「パヨク」=「左翼」=「日本共産党支持者あるいは党員」という意味のように読み取れる。わざわざパヨクって言わなくても左翼で良いじゃないか!という話なんだけど、何故わざわざパヨクというのか?気になったので調べてみた。

 何でも、野間何某という方が2013年1月に「レイシストをしばき隊」を結成。本当に警察関係者に対する暴力や彼らが「レイシスト」と呼ぶ人たちの行動に対する過激な妨害・対抗活動を繰り返し逮捕者を出し、その後、「対レイシスト行動集団(Counter-Racist Action Collective、略称C.R.A.C.(クラック))」に名称変更しています。そのクラックのメンバーの一人が、某漫画家の支持者の名簿をネット上に公開するという事件があったらしい。
 そして、どうやらこのクラックの活動をSNSで拡散していた人のアカウント名が「ぱよぱよちーん」という人のようなんですね。そして、このネットに個人情報を書き込んだ事件をどうやら「ぱよぱよちーん事件」と呼んでいるようです。
 クラックの活動が左翼の活動と呼べるかどうかについては良く検証してみないといけないと思いますが、「ぱよぱよちーん」+「サヨク」から「パヨク」という言葉が生まれたということのようです。千葉麗子氏が「パヨク」という言葉を使った本を出版するなどしたことでネット上で一気に広まった言葉だとネットに書いてありました。
 千葉麗子氏は、「劣化した左翼を揶揄する意味を込めた言葉が『パヨク』だ」としています。千葉さんの発言が他にもインターネット上に紹介されていますが、クラック等いろんな団体を全部まとめて共産党関係者と書いているあたり、もう少し勉強されたほうが良いとは思いますが、いずれにしても「パヨク」は、褒め言葉ではなく共産党関係者に対する批判的な意味を込めた言葉ととらえて間違いなさそうです。
 右翼団体にだっていろんな組織があって、必ずしも一つにまとまっているわけではないように、「左翼」だっていろんな団体があって一つにまとまっているわけではないですよね。それを千葉さんはパヨク=共産党関係者として発言してますし、ネットでも概ねそのように書いています。そうするとね、何か問題があった時に、何でもかんでも共産党がやったことになってしまって、これは事実をゆがめることになってしまいちょっと危険です。

 こう見てくると、パヨクって、正確な定義づけもできない、曖昧な言葉ですね。私ですか?私は、もちろんパヨクではありませんよ。

 そしてもう一つ、ネトウヨ。これも初めて見た時なんじゃこりゃ?という感じだった。困ったときのWikipediaで調べてみると、「ネット上の右翼的、保守(≒復古主義)的、国粋主義的な性向を持つ人々を指す」とあります。メディアによるレッテル貼りだという批判がある一方で、小林よしのり氏はネトウヨのことを「国家というものを持ち出しさえすれば自分自身の自意識を底上げできる、という人間」だと批判しているように保守派からの厳しい意見にさらされていたりします。保守派評論家の西部邁さんは「ある種の反知性主義としか言いようのない、下品な言葉遣い、他人に対する誹謗中傷、罵詈雑言がある」とさらに厳しい意見を発信しています。
 「ネット右翼」という言葉は1990年代の後半、インターネット上のT-cup掲示板で使われたのが最初で、その時は自称「ネット右翼」というように使われていて、差別的な用語でも何でもなかったのです。また、「電脳右翼」という言葉も並行して使われていました。

 パヨク同様、ネトウヨも論者によって意味内容が異なり、定義も曖昧な言葉です。どちらもある種のレッテル貼りで、相手を酷くけなすために使われることが多い言葉です。使いたくありませんし、使われたくない言葉だなというのが私の結論。

【追加】
 ミソジニストって言葉、つい最近見かけるようになりました。MACブックを使っているんですが、「みそじにすと」を変換すると「三十路ニスと」となりました。それで、三十を過ぎた人に特有の何か(それはまだわからないんですが・・)をやってる人という意味か、何をやっている人なんだ?と思っておりました。
 SNSの書き込みを注意深く読んでいると、女性や女性らしさを嫌悪する人物をミソジニストのことをさしているようなんです。そこで一寸調べてみるとギリシア語の μισος misos (嫌悪、憎しみ)と γυνε gune(女性)に由来する言葉のようですね。どうやら女性・女性らしさに憎しみを感じる人のことをミソジニスト(misogynist)と呼ぶということがわかりました。

 私は、女性や女性らしさは大好きですので、ミソジニストではありませんよ。

2017年12月25日月曜日

求職活動

 雇用保険の基本手当をいただいている。いただいておきながら文句を言うわけにもいかないが、あまりにも制限的なので、改善をしていただきたいことがある。すでに、離職理由によっては給付制限を受けることについて、それはおかしい旨書かせてもらっているので、その後制度を利用させてもらって経験した問題点を明らかにしておきたい。

 そもそも、「社会保険制度(英語: Social insurance schemes)とは、社会保障の分野のひとつで、疾病、高齢化、失業、労働災害、介護などの事故(リスク)に備えて、事前に雇用者もしくは雇用主、あるいは両者が社会的供出をすることによって、保険によるカバーを受ける仕組みである。」
 雇用保険はそのうち失業という生計を維持するのが困難な状況に陥った時、働いていた時に本人及び雇用主が支払っていた保険期間・保険料に応じて、失業手当を支給し労働者が次の仕事を見つけるまでの間、その収入を保障しようという仕組みである。したがって、離職理由は本来ならば無関係だ。仕事をなくしたという事実に対して、失業等給付が受けられるというシンプルな仕組みにしないと利用しにくくて仕方ない。

 例えば、「月2日の求職活動」が義務付けられているが、私の場合、1月末に介護福祉士の国家試験を受けるので、失業給付を受けながら試験勉強をしたいということについては初回の面接で申告しているわけだ。そしてハローワークからも「介護福祉士資格で働ける場所を探しているのですね?」と尋ねられ、具体的にどうなるかは別にして、基本的にはそういうことになるわけなので、「その通りです。」と答えたている。であるならばですよ、国家試験までの間の求職活動はしないと言ってはいけないかもしれないが、しないですよね。資格がとれるか取れないかわからないのだから。

 それから失業認定日の問題。認定日に出頭しなければ、原則として認定対象期間全部について失業の認定はされないことになる。一方的に指定して、この日に来られなければ失業認定しないという仕組みなんですよね。失業者にだって暮らしがあるわけだから、例えば●月✖日から◆月▲日までの間に失業認定日を指定するので、「何日がいいか?」と聞いてくれるくらいの大らかさがあってもいいんじゃないかと思う。やむを得ない理由(その日が採用試験や資格を取るための試験に当るとか、定められた範囲内の親族の冠婚葬祭など)の場合に認定日が変更できることになってはいるけど、事前にハローワークに連絡したうえで指示を受けることになっており、きわめて制限的だ。

 人は誰しも、大なり小なり、失業という将来への不安を抱え、そうでなくても暗澹たる気持ちを抱えてハローワークを訪ね、失業手当で食いつないでその間に何とか生業を得ようとしているわけだ。社会保険制度なんだから、失業という動かしがたい事実のみを根拠に、基本手当を支給し、この手当が出ている間に次の仕事を見つけようねと、労働者を温かく励ます、そんな制度にならないものかねぇ。

2017年12月21日木曜日

ハプログループ

 『hate』のところで書いた、ハプログループって何ですかという質問があったので、自分の備忘的な意味も含めて整理しておきたい。以下は、Wikipediaのいくつかのページからまとめたもの。

 ハプロタイプとは、生物がもっている単一の染色体上の遺伝的な構成(具体的にはDNA配列)のことであり、通常、母系のミトコンドリアと、父系のY染色体が対象となる。現在は、限定的な意味として、同一染色体上で統計学的に見て関連のある、遺伝的に連鎖している多型(一塩基多型[SNP]など)の組合せをいうことが多い。

 ハプロタイプは親から子へ引き継がれるものであるから家系調査にも応用できる。特に男性のY染色体のハプロタイプは父系の調査に用いられる。Y染色体のハプロタイプは他のハプロタイプと違ってペアをなさないから、他の染色体との乗換えが起こらずに父から息子へと伝えられる。同じ姓をもつ様々な子孫を調べた場合、その姓に対する標準的なY染色体ハプロタイプが見られることもある。これはその姓を名乗った最も古い共通祖先のハプロタイプである可能性が高い。

 逆にミトコンドリアDNAのハプロタイプは母系を推定するのに用いられている。ミトコンドリアDNAは必ず母親から子に受け継がれ、父親から受け継がれることはない。したがってミトコンドリアDNAを調べれば、母親、母親の母親、さらに母の母の母の…と女系をたどることができる(この場合、父親の系統を遡ることはできない)。またミトコンドリアDNAは組換えを経ることがないため、個々人のミトコンドリアDNAの違いは突然変異のみによると考えることができる。

 突然変異は、中立説にもとづくなら、その発生頻度は経過した年月と相関すると考えられている。すると、二つの民族間でDNA配列がとてもよく似ているということは、分かれた後に起きた突然変異が少ないと言うことで、より最近にわかれた民族であるということを示す。逆にあまり似ていない配列は、たくさんの突然変異を蓄積してきたと考えられ、古い時代に分かれた遠い民族であるという基本的原理が成り立つ。

 ミトコンドリアDNAの違いを調べていくと、すべての人類の母親に辿り着けるのではないか、と考えることができる。つまり、ミトコンドリア・イブはより正確に言えば「現生人類の最も近い共通女系祖先」だと言える。分析の結果、場所的には一人のアフリカの女性にたどり着き、時間的には、人類の仮想上の共通の母親は、約12~20万年前つまり最大で20万年前に存在すると結論づけられている。

 ハプロタイプは人類などの集団の比較にも用いられる。ハプロタイプには多様性があり、近い集団では似ているが遠い集団では大きく異なる。ハプロタイプを大きくまとめたものをハプログループといい、これは遺伝的集団を示す指標として用いられ、また地理的なまとまりを見せる場合が多いので、人類の移住の歴史を推定するのにも用いられる。

 この研究が発展して、人類が最初に誕生したアフリカから世界各地に移動していく経路も推定できるようになったわけだ。ミトコンドリアDNAのハプログループDは、東アジア、東南アジア、北アジア、中央アジアそしてアメリカ大陸に至るまで広範囲に観察され、はじまりは48,000年前に東アジアで誕生したとされている。モンゴロイドの分布している地域と概ね重なっている。その中でもD4グループは日本人の30%以上が属しており、琉球人、朝鮮人、モンゴル人、ツングース系民族などでは最も高頻度で観察される。要するに、このグループは東アジアで誕生し、朝鮮半島を経由して日本に渡ってきており、大陸に住むモンゴルや中国、朝鮮半島の人たちは日本人のルーツとなっているというわけだ。

 住む国が違えど、人種的には一緒ということなのだから、いがみ合うのではなく、もっと仲良くできないものだろうかと言いたい。

2017年12月18日月曜日

FX(外国為替証拠金取引)

 日本円で外国の通貨を買うという取引(外国旅行の時の両替をイメージすれば良い。)のことを外国為替取引という。例えばこれを書いている今、1ドル=112円で取引されている。つまり、今、外国に行くために円をドルに交換すると、このレートで交換できるのだが、両替商の手数料が2~3%程度かかるので、1ドル3円前後の手数料が必要となり、実際には1ドル=115円くらいということになる。

 この1ドル=112円という交換比率のことを為替レートという。為替相場と言ったり、単にレートということもあるが、外国の通貨と円を交換するときの比率が為替レートである。国際為替市場で中心に扱われる通貨のことをキーカレンシー(基軸通貨)といい、第二次世界大戦後は、アメリカがIMF体制の下で、各国中央銀行に対して米ドルの金兌換を約束したこと、及びアメリカの経済力を背景に米ドルが名実共に基軸通貨となっている。

 ここで疑問になるのは、「何でお金の値段が変わるの?」ということだろう。為替レートがどういう仕組みで変動するのかをしっておくことは、単に、FXが何かを知ることだけでなく、国際経済の循環を理解するためにも役に立つ。

 まず、最初に想像されるのは貿易だ。アメリカの景気が良くなって、日本からアメリカへの輸出が増えたとする。日本の輸出企業は、売り上げを最終的には円で受け取らなければならない。アメリカの輸入業者がドルで支払ってきた場合は、日本企業がそれを円に交換する必要がある。また、アメリカの業者が円で払おうとすれば、ドルを円に交換しておかなければならない。いずれの場合でも、日本からの輸出が増えた分円が必要(円の需要が増える)になり、ドルで円を買う(ドルの供給量が増える)ことになる。普通の商品と同じように、需要が増えれば値段が上がり、供給が増えれば値段が下がるというわけだ。

 輸出入以外にでも、例えば、「オーストラリアの預金金利が高いので、口座を開きませんか?」など外貨預金を進められて経験があるが、外貨預金をする場合でも、相手国の通貨を円で買うことになり、この場合だとオーストラリアの通貨(オーストラリア・ドル)の需要が増え値段が上がることになる。

 このほかにも、各国の通貨政策によって、その国の通貨供給量が増えれば値段が下がるし、国際収支の動向も為替相場に影響を与える。為替市場に参加する人たちはこうしたファンダメンタル(基礎的事項)を念頭に置いて相場の動きを見て、売ったり買ったりを繰り返している。実際に為替相場を動かしている人たちは、経済や政治の動き、自然現象など様々な要因を見たり、聞いたりして、多くの市場参加者が何を買おうとしているのか、売ろうとしているのかを見極め、為替売買を行っているのだ。

 株式の取引が大きな資金を必要とするのに対して、FXは小額から始めることができるので、バイナリーオプションと同様比較的入りやすい。対象も通貨だから、メインとなるのはドル、ユーロ、ポンド、フランなど限られており、株式のように個別企業の業績を追う必要はなく、円安か円高かという大きな流れをつかんでおけばよい。

 まず、FX取引業者や証券会社に口座を開設し、お金を担保として預け入れる。これが証拠金で、FX(外国為替証拠金取引)の名称の由来になっている。単なる預金と違うのは、レバレッジという仕組みで、証拠金の何倍という設定ができるようになっており、業者によっては400倍という高いレバレッジが可能というところもある。つまり、少ない資金で大きな買い物ができる仕組みが用意されているということだ。
 しかし、逆に言えば、手持ちの現金を超えて例えばドルを買った場合、値が下がった場合には元手がゼロになってしまうリスクも抱えることになる。となると、こまめに値動きをチェックし、売り買いを繰り返さないと利益が出せないということになり、少なくとも、働きながら片手間でやっていたのでは利益を出すことは難しいと言わざるを得ない。

 これも、多くのお誘いがあるが、私が手を出せる代物ではなさそうだ。LINEなどでしきりに誘ってくる若い子たちは、本当に、これで儲けているのだろうか?本当に、これだけで生活しているのだろうか?はなはだ疑問であり、参加者を集める広告塔として使われているのではないのか、そんな気がして仕方ない。

2017年12月15日金曜日

バイナリー

 バイナリーやりませんかというお誘いが激しくやってくる。何のことかさっぱりわからないので無視していたが、無視し続けるのもなんなので、何かを調べてみた。

 バイナリーオプションというのが正式のようだけれど、二つの言葉の組み合わせになっている。
バイナリー(binary)= 二進法
オプション(option)= オプション取引

 ということで、二択を予測して選ぶ投資取引という意味らしい。二択というのが、「高くなる」か、「安くなる」かというシンプルな選択肢なので、投資の入り口、登竜門とか言われているようだ。

 例えば、こんな具合だ。ドルが1時間後に現在の1ドル105円から上がると予想したら「1万円分のバイナリーオプションをhighで購入」する。判定時刻に例えば106円になっていれば、予想が当たったので1万円の利益が戻ってくる。そして、残念ながら105円より下がっていれば、1万円がなくなる。1万円が100万円でも1千万円でも同じことで、予想が的中すれば買った額だけリターンがあるという取引がバイナリーオプションというわけだ。もちろん、それでは間に入った業者の利益が出てこないので、ペイアウト率というのを業者が設定しており、ペイアウト率80%と設定している業者からバイナリーオプションを購入した場合は、上の例でいえば、1万円の80%が戻ってくることになる。

 FX(外国為替証拠金取引)の場合、レバレッジという、持っていないお金を「持っている」ことにして取引する方法が用意されていて、例えば1千万円しか資金がないのに、2千万円持っていることにして2千万円を投資できるので、当たった時は大きな利益を上げることができるが、外れた時は逆に膨大な借金を背負うことになってしまう。バイナリーはそれがなく、損をするとしても買った金額だけなので、投資取引の登竜門などとされているわけだ。

 しかし、この仕組みよく考えてみれば、じゃんけんと一緒で、じゃんけんに勝ち続けることができないように、確率的には限りなく勝率50%に収れんされることになる。したがって買った時だけとはいえ(確率的には2回に1回)業者手数料を払うことを考えれば絶対に儲からない仕組みになっている。

 バイナリーオプションの場合、投資できる対象は①外国通貨取引、②株式銘柄取引、③資源(ゴールド、オイル等)があり、その道に精通している人ならば、例えば、株式の上がり下がりなど50%以上の確率で予測できるとすれば、勝率は50%よりも高くなるかもしれない。資源の取引でも上がり下がりの予測が高い精度で的中するのであれば勝率は50%より高くなる。しかし、相場師が暗躍する世界で素人が勝率50%を超えて儲け続けることは残念ながら不可能だろう。

 そんなことをわかったうえで、遊び金があって投資取引で遊んでみようかという人には面白い遊びになるかもしれないが、少なくとも、私が手を出すようなものではないといういうことははっきりした。

 私のバイナリーオプションに対する考え方がまとまったとこで、今度は、インスタグラムやフェイスブックで届けられる、1日何分かのバイナリー取引で優雅に暮らしていると主張している人たちが、実際にはどんな暮らしをしているのか、気になるよね~~。

2017年12月11日月曜日

hate

 ”hate” 「はて?」ではなく「ヘイト」である。少し前、ヘイトスピーチを繰り返すデモに遭遇してびっくりした。「殺せ」とか「日本から出ていけ」とか、まあなんと恐ろしいものだと心が萎びたようになってしまったことを鮮明に覚えている。

 2016年5月24日「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律」通称「ヘイトスピーチ解消法」が成立しており、もうこういうのはなくなったと思っていたので、本当に驚いた。実は、この法律「不当な差別的言動は許されないことを宣言」し、人権教育や啓発活動を通じて解消に取り組むと定めた理念法で、罰則がないんだね。差別的言動の解消に向け、国や地域社会が、教育や啓発広報、相談窓口の設置など「地域の実情に応じた施策を講ずる」よう定めているけれど、罰則がないので、完全に止められないということのようだ。

 特に、在日朝鮮人の方に対する酷いシュプレヒコールを聞いていて気分が悪くなった。そもそも遺伝的な研究が進み、「ミトコンドリア・イブ」と呼ばれる人の細胞内のミトコンドリアのDNAの多型をつかって遺伝的なグループ分けがなされているわけだけど、その結果などを見ると、日本人の35%はハプログループDで中国中部から朝鮮半島を経て日本に辿り着いたグループ。つまり、たまたま国籍が日本ではないだけで、遺伝的には同じ民族なんだよ。むしろ、大陸の住人が先祖といった方が正確ですよね。

 そんな同族を蔑み、脅し、虐める行為はもう止めにしよう!そう言いたい。同時に、何故ヘイトスピーチなどというものが生まれたのかを明らかにしておきたいとも思っている。それで、いろいろと考えたのだけれど、次のことに思い当たった。
 朝鮮人に対するヘイトの源泉は、一つには朝鮮半島と日本の関係の歴史、つまり大東亜共栄圏の建設の名のもとに東アジアを支配しようとしてきた歴史の中で、他国民を劣等民族として扱うことが当然のことのように行われてきた歴史の中にある。そして、そこに新自由主義による「勝ち組」「負け組」の言葉に象徴される競争原理の押し付けが、日本の労働者・国民に与えた影響、つまり負け組となった者が、常に下位の者を見出すことで自らを慰め、それが歴史的に払拭しきれない劣等民族意識と結びついたときに、ヘイトとして現れているのではないかというアイデアを思い付いた。

 その時は、動揺して何もできなかったのだけれど、こんな風にヘイトスピーチがどこから来るのかを考えることで、今度は闘える気がしたのでした(闘うといっても喧嘩するということではありませんよ、念のため。)。

気になること

 SNS(フェイスブック、ツイッター等)の発展は目覚ましいものがありますね。スマホなどの携帯ツールの発展がそれを支えていますし、SNSの発展がスマホなどの携帯ツールを進化させるきっかけにもなっている。相乗効果でさらに発展していくのでしょうが、少々気になることがある。

 自由に意見が表明できるのは良いのだけれど、特に、匿名性の高いツイッターの書き込みにあまりに酷いものが多い。簡単に、「ボケ」「アホ」「バカ」等々の悪口を書いてしまう人が多いのが気になって仕方ない。面と向かってはおそらくいえないであろうことを、SNS上ではいとも簡単に言えてしまう。目の前に相手がいないので、かなり酷いことを書いても、せいぜいネット上で炎上することはあっても、具体的な喧嘩にはならない。口汚く罵って、言い逃げですよね。

 何でそんなことになるのか考えてみた。おそらくその背景には、現実世界で抑圧されていることが影響しているのだろうということに気が付いた。そもそも正規雇用の機会が少なく、派遣やバイトで暮らしをつなぎ年収200万円未満の労働者が4人に一人という状況でで悪戦苦闘している一般国民は、うかつに会社批判したら即雇止め、解雇という報復が待っている。労働組合組織もなく、誰も守ってくれないからね。

 安倍総理のヨイショ本を書いた山口何某は準強姦罪の逮捕を免れたが、籠池夫妻は名誉校長の存在による国有地売買劇を明らかにしてしまったために逮捕監禁されている。あるいは前川喜平さんのように「風俗通い」の印象操作の記事を書かれたり、多くの国民は籠池夫妻や前川さんと一緒で、安倍総理に逆らえば情け容赦なく嫌がらせや弾圧が待っている。

 言いたいことも言えず、貝のように押し黙っている国民が、個人を特定されないSNS上でなら言いたいことが言えることに気が付いてしまったのだ。タガが外れたように、尽きることのない泉のように、「本音」が溢れ出てくることになった。いや、本音ではなく、「怒り」が溢れ出たのだ。怒りに裏打ちされた感情の吐露だからこそ、「アホ、ボケ、カス」と口汚い罵りとなってしまうのだろう。

 これでは、せっかく手にしたSNSという自分を発信するツールを使いこなしていることにはならない。相手の人格を否定するような発言は、たとえ相手が巨悪であったとしてもやってはいけない。相手が巨悪であればこそ、事実を積み重ね、その事実の中から相手の悪の本質を描き出し、そこを徹底的に追及するのでなくては、巨悪を倒すことはできない。もっとも、単なる悪口くらいでは腹も立てないくらいの悪が大勢いるから、SNS上で罵詈雑言を浴びてもびくともしないのだろうけどね。

2017年12月6日水曜日

新たな試み

 今週は、名古屋出張で始まった。名古屋で、一つは事業協同組合の設立のお手伝いをする予定で、新設する事業協同組合の中心メンバーの方たちと打ち合わせ。志はあるが、方法論がわからないということで、私は、すでに事業協同組合を3つ設立してきた実績があり、介護事業のコンサルをやっていることもあって、大先輩のMさんから「手伝ってやってほしい」と頼まれて、出かけて行ったのだった。
 お話をお聞きすると、協同組合を作って介護人材の確保の仕事をするという目的意識のもとで、すでに必要なメンバーは集まっている。あとは中小企業団体中央会を通して、設立に向けて手順通りにやっていくだけのように思えた。足らないところを少しだけお手伝いできれば、うまく軌道に乗っていきそうだ。

 もう一つは、海外で水産物の調達をやっている友人からの要請で、名古屋の食品チェーンのA会長を訪ね、フィリピン、ミャンマー、インドネシア等から水産物を日本に入れる仕事についてお願いに行った。会長のグループ企業で水産物の品質チェックと製品化に取り組んでもらって、その実績を含めて購買生協や地域スーパー等への売り込み戦略を立てていくという大まかな方向性を確認。こちらも何とか話が前に進みそうな感触を得ることができた。

 来年度は、まちづくり研究所を軸に、介護人材の確保と養成に取り組むNCS事業協同組合、農業・林業・漁業という人の暮らしを支える基盤産業の保護・育成を本気で考えておかないと、胃袋を外国に依存してばかりでは日本の未来は切り開けないということで、第一次産業の保護・育成をテーマに六次産業化を含む取り組みを具体化していきたいと考えている。そんな試みの一つとして、東南アジアからの水産物の輸入と、養殖を含めた水産資源の保護育成の事業に着手したというところだ。

2017年12月4日月曜日

師走

 早いもので、今年もあと1か月で終わる。2017年を振り返るには少しだけ早いかもしれないが、私の、2017年を象徴する出来事ベスト5といったら何かなぁと考えた。

 何と言っても、第一位は、医療生協を卒業したこと。大学4年の後期に学生を続けながら名古屋の南医療生協に入職しているので、今年の11月まで勤めていれば36年勤続ということになったわけだが、7月末で退職したので36年には4か月足りなかった。それでも大凡36年の長きにわたって、医療生協、民医連、医療福祉生協連という枠組みの中で仕事をしてきたので、そこを辞めるというのは我が人生の中でも一大事である。
 遅かれ早かれやってくる定年を待たずに辞めたのには理由がある。私の思い描いている協同組合の姿と、岡山医療生協の常勤役員が考えている協同組合像の間の乖離があまりにも大きくなったということだ。もちろん私の信じる協同組合に近づける努力をするってことが職員としては正しいのだろうが、定年まであと1年という時間を考えると、職員数1,000人を超える大きな協同組合の舵を切ることは難しい。そして、自分の思いと違う方向に進んでいる船に乗り続けることが耐えきれなくなったことが早期退職の理由だ。

 第2位は、まちづくり研究所を立ち上げたこと。私は、安心して暮らし続けることのできる町を本気で作りたいと思っている。その実現のためには、地域を変えていくしかない。「暮らしの困った相談所」のようなイメージで地域づくりの活動していきながら、自分の飯の種も何とかしなければならないということで、苦労することになるのは眼に見えているが、それでも世の中にコミットしながら、世の中の一員として歴史の歯車を前に進めるために、とにかく何かをはじめたいという情熱だけは忘れずにやっていきたい。

 第3位は、NCS事業協同組合の設立に参加したこと。超高齢社会を生きるためには福祉・介護の仕組みが重要になるわけだが、報酬の低さ、介護労働の厳しさ等から介護人材が不足しているし、今後もさらに人材の確保と育成が難しくなる。人材確保の一つの方策として、この11月から、外国人技能実習生が介護の現場でも導入できることになった。5年の技能実習期間に介護福祉士資格を取得することができると、外国人に在留資格を付与するという制度が始まったのだ。NCS事業協は、その外国人技能実習生を受け入れる監理団体をめざして設立されたのだが、その運営に参加することになった。
 外国人実習生が介護人材不足をカバーする仕組みだとは思っていないが、たりないのは事実。何らかの形で外国人材に頼るのはやむを得ないことだ。とすれば、従来のピンハネ目的の監理団体が、その延長で介護職員の受け入れをしようという動きに抗して、まじめに実習生を受け入れ、日本の介護福祉士資格を取得できるようバックアップする体制をしっかり作り、実習生の母国の福祉・介護を担う人材を育てるお手伝いをさせていただくというビジョンをしっかり持った監理団体としてNCS事業協同同組合が活動していくことはこの業界にとって必ずプラスになることだと思っている。

 第4位まちづくり研究所の事務所をだしたこと。自営業なので、家が事務所で良いと思っていたけれど、仕事とプライベートの区別がつかないタイプの私が、家を事務所にしているとどうにもいけない。仕事がルーズになってしまうので、経済的な負担のことを考えると厳しい選択ではあったが、岡山県総合グランドの北西・津島南二丁目に事務所を借りた。ミーティングテーブル・書庫・事務机等備品も入り、狭いながらも「我が事務所」である。一国一城の主になった気分は悪くない。

 第5位は、群馬のお袋さんが、股関節の人工関節への置換する手術を受けたことかな。自分が年を取るってことは、とりもなおさず親も歳を取るってことで、お袋さんの手術はその象徴的な出来事だった。今年から、米作りを親父殿の甥(定年(60歳)は過ぎてるけどね。)に任せて、我が家は米作りから撤退した。百姓が米作から撤退するのは、サラリーマンが定年退職を迎えたようなものだから、親父殿も83歳にして農業から定年退職した。とはいえ、家の周りの畑で、毎日の食卓を飾る野菜たちの栽培は続いており、さしづめサラリーマンが定年後に再雇用をしてもらったようなものなのだろう。今度、実家に里帰りするときに、その辺りの心境を肴に親仁殿、お袋さん、弟とゆっくり杯を重ねたいものだ。

 そんなこんなで、今年も色々あったが、来年はもっと色んなことを”起さないと”いけないなと思いながら、師走を迎えた今日この頃なのである。

2017年12月1日金曜日

おうちのでんわ

 事務所を探していることは前に書いた。自営業なので職場と家が一緒でいいやと思っていたのだけれど、仕事とプライベートの区別がつかず、加えてどうしても仕事の書類などが家の中で目に付くようになる。かみさんからも厳しいご指摘をいただくことも多く、私の蔵書も本棚からはみ出してきた。そんなこんなで、11月からアパートを借りた。

 事務所というより、私の書斎といった方がいいかもしれないが、ここが活動の拠点になる。家には固定電話を引いてなかったんだけど、仕事場には固定電話があったほうが良い。Skypeで良いかなと思っていたんだけど、先日、ワイモバイルがPHS向けに提供している料金プランの新規受付および変更、PHS端末への機種変更受付を、今年度で停止するという連絡を受けて、PHSから携帯・スマホへの移行プランが有利ということでスマホに変えた際、『おうちのでんわ』というサービスがあることを知っていた。

 そこで、今回、「おうちのでんわ」を契約してきた。家の電話機をこれに繋ぐだけで、番号も変わらずに、SoftBank、Y!mobileの携帯電話とセットで月額500円の基本料金で使えるのだ。NTTの固定電話を引けば月額1,600円の基本料金がかかるが、この「おうちのでんわ」はその三分の一以下ということになる。

 本体は、下の写真の白いボックスのみ。電源につないで、家電をこの白いボックスに繋ぐだけという簡単設置で、固定電話として使えるようになる。普通に岡山市内の086で始まる固定番号が割り当てられ、NTT等の固定電話とまったく同じように使えるのだけれど、警察や消防、海上保安本部に電話を掛けた時には070で始まるPHSの番号のような電話番号が表示される。
 要するに、家電がこの白いボックスを通してPHSの回線を使って固定電話のように使えるってことなのだろうね。これならどこに持ち出しても使えそうなものだけど、届け出た住所地以外で使うことは禁じられており、設置場所を変更するときには届け出るようにと注意された。