2018年2月28日水曜日

グローバル経済の迷宮 2

 海外投資、特に低賃金国への生産移転は、母国の産業空洞化と経済力低下を引き起こします。

 アジアの成長を日本に取りこむ、東アジアに中枢部品を輸出してアジアの生産ネットワークを日本がけん引する、などして始まったアジアへの投資や生産移転ですが、結果を見れば失敗は明らかで、日本だけが成長に取り残されることになりました。
 戦後の高度経済成長の要因を分析し、日本的経営を高く評価した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が発刊されたのは1979年ですが、1990年代に入るころまで世界の国内総生産での日本の地位はアメリカに次いで第2位の位置を占めていました。しかし、2015年には3位に落ち、アメリカのGDPの6割あった日本のGDPはアメリカの2割、2位に躍り出た中国の4割に及ばないというところまで落ち込みました。

 1990年代、アジアに中枢部品を輸出し、アジアの生産ネットワークの拠点としての位置を保っていましたが、2000年代に入ると次々に追い抜かれ、ASEANで最下位となりました。

 生産拠点のアジア地域への移転によって、移転先のアジア諸国の成長に寄与することはできました。しかし、そのおかげで日本国内での生産は業種によっては壊滅的な打撃を受けることとなり、国内総生産の後退だけでなく、貿易面での敗北・貿易収支の赤字化につながっています。


2018年2月21日付 しんぶん赤旗

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