2018年2月22日木曜日

オリンピック考

 平昌オリンピックについて、あるいは、平昌オリンピックの報道について、様々な意見が出されています。

 一つは、今回のオリンピックが平昌であること、大韓民国で開催されていることに由来する意見です。北朝鮮との合同チームが作られたり、金正恩最高指導者の妹さんが大使として開会式に参加し南北対話に向けた話し合いが行われたり、北朝鮮の美女(?)応援団がにこやかに、そろって韓国及び北朝鮮選手を応援する姿が話題になったり、朝鮮半島の平和への動きが見られるわけですが、曰く「北朝鮮の策謀だ」「核開発に対する国際的な批判をかわすためのものだ」「北朝鮮を参加させるな」等々。
 私は、この間、核開発をめぐって国際的に孤立を深めている北朝鮮がオリンピックに参加するのは良いことだと思います。四年に一度のスポーツの祭典ですから、政治的な対立があったとしてもそのことはいったん何処かに置いておいて、日ごろ鍛えあげてきた技と力をぶつけあう場所に、北朝鮮の選手が参加できるようにするというのは大事なことだと思います。オリンピックへの参加をきっかけにして、政治の世界でも対話が進んで、朝鮮半島に平和が訪れるのだとすれば、それはオリンピックの政治利用ではなく、スポーツを通じて相互理解が進んだことの証と捉えることが重要ではないかと思っています。「スポーツに国境はない。」ということです。
 文大統領が「慰安婦問題は日韓合意では解決しない」と表明したことを受けて国内で韓国への批判が高まっている中で、安倍総理がオリンピックの開会式に行くのかどうかが問題になっていました。政治的な問題は棚上げして、純粋に国際的なスポーツの祭典を楽しめばいいというのが私のスタンスで、安倍総理が開会式に参加して良かったなと思っています。羽生選手や小平選手の金メダルをちゃっかり自身のイメージアップに使っているあたり、さすがに抜け目がないなというか、良い宣伝担当を抱えていらっしゃるなと思いますし、それこそ政治利用ではないですかと言いたい気持ちにもなりますが・・・。

 そしてもう一つは、国内問題をそっちのけでオリンピック報道に明け暮れるマスコミに対する批判です。「国会で重要問題を審議しているのに、一日中オリンピックのことばかりなのはおかしい」「重要法案の審議から国民の目をそらすためにオリンピック報道が利用されている」、果ては「オリンピックを利用して日本のナショナリズムを高揚させようとしている」といったご意見まで。
 私がしんぶん赤旗が良いなと思っているのは、スポーツでは下の切り抜きのような記事をちゃんと取り上げるところなんですが、例えば、全国一発行部数を誇る読売新聞だと、同じこの場面を報道するのでも「6日前の韓国メディアの取材に「『あの選手』と比較しないでほしい。」と小平選手の名を呼ぶことすら避けた。」などという文章がさりげなく挿入されていたりするわけです。
 私もスポーツマンだったのでわかるんですが、切磋琢磨しあう間柄であっても、試合の前はナーバスになるわけです。お互いに今度は勝つぞと気合が入っているわけで、試合の前はある意味対戦相手は敵なわけですから、「あいつと比べるな」となるのは当たり前なんです。4年に一度世界一を決めるオリンピックともなればなおさらです。ボクシングの試合などでもあれだけ殴り合った後でもお互いに敬意を表して肩を抱き合い「良い試合だったね」と喜び合うわけです。小平さんとイ・サンファさんも何度も競い合いながらお互いの実力を認め合い、友情を育んでいったわけですよ。そこに微妙に韓国と日本は違うぞというメッセージをはさみ込んで記事にしている・・などと読んでしまう私に、もしかしたら読売新聞に対する偏見が混じっているかもしれませんが・・・。
 国会の重要問題を報道しない言い訳にオリンピック報道があるのだとすれば、それは問題だと思いますが、四年に一度しかないスポーツの祭典で、自国の選手が頑張る姿を見て素直に感動し、勝っても負けても「よくやった」って褒め称えてあげれば良いんですよ。テレビ番組欄を見ても、けっして一日中オリンピック報道で埋め尽くされているわけでもありませんし、まったくオリンピックを報道しない(できない?)TV局もあるわけで、そんなにおかしなことだとも思わないんですよね。

 それにしても、小平選手のスポーツマンシップに拍手です。 -パチパチ

2018年2月22日付 しんぶん赤旗

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