『hate』のところで書いた、ハプログループって何ですかという質問があったので、自分の備忘的な意味も含めて整理しておきたい。以下は、Wikipediaのいくつかのページからまとめたもの。
ハプロタイプとは、生物がもっている単一の染色体上の遺伝的な構成(具体的にはDNA配列)のことであり、通常、母系のミトコンドリアと、父系のY染色体が対象となる。現在は、限定的な意味として、同一染色体上で統計学的に見て関連のある、遺伝的に連鎖している多型(一塩基多型[SNP]など)の組合せをいうことが多い。
ハプロタイプは親から子へ引き継がれるものであるから家系調査にも応用できる。特に男性のY染色体のハプロタイプは父系の調査に用いられる。Y染色体のハプロタイプは他のハプロタイプと違ってペアをなさないから、他の染色体との乗換えが起こらずに父から息子へと伝えられる。同じ姓をもつ様々な子孫を調べた場合、その姓に対する標準的なY染色体ハプロタイプが見られることもある。これはその姓を名乗った最も古い共通祖先のハプロタイプである可能性が高い。
逆にミトコンドリアDNAのハプロタイプは母系を推定するのに用いられている。ミトコンドリアDNAは必ず母親から子に受け継がれ、父親から受け継がれることはない。したがってミトコンドリアDNAを調べれば、母親、母親の母親、さらに母の母の母の…と女系をたどることができる(この場合、父親の系統を遡ることはできない)。またミトコンドリアDNAは組換えを経ることがないため、個々人のミトコンドリアDNAの違いは突然変異のみによると考えることができる。
突然変異は、中立説にもとづくなら、その発生頻度は経過した年月と相関すると考えられている。すると、二つの民族間でDNA配列がとてもよく似ているということは、分かれた後に起きた突然変異が少ないと言うことで、より最近にわかれた民族であるということを示す。逆にあまり似ていない配列は、たくさんの突然変異を蓄積してきたと考えられ、古い時代に分かれた遠い民族であるという基本的原理が成り立つ。
ミトコンドリアDNAの違いを調べていくと、すべての人類の母親に辿り着けるのではないか、と考えることができる。つまり、ミトコンドリア・イブはより正確に言えば「現生人類の最も近い共通女系祖先」だと言える。分析の結果、場所的には一人のアフリカの女性にたどり着き、時間的には、人類の仮想上の共通の母親は、約12~20万年前つまり最大で20万年前に存在すると結論づけられている。
ハプロタイプは人類などの集団の比較にも用いられる。ハプロタイプには多様性があり、近い集団では似ているが遠い集団では大きく異なる。ハプロタイプを大きくまとめたものをハプログループといい、これは遺伝的集団を示す指標として用いられ、また地理的なまとまりを見せる場合が多いので、人類の移住の歴史を推定するのにも用いられる。
この研究が発展して、人類が最初に誕生したアフリカから世界各地に移動していく経路も推定できるようになったわけだ。ミトコンドリアDNAのハプログループDは、東アジア、東南アジア、北アジア、中央アジアそしてアメリカ大陸に至るまで広範囲に観察され、はじまりは48,000年前に東アジアで誕生したとされている。モンゴロイドの分布している地域と概ね重なっている。その中でもD4グループは日本人の30%以上が属しており、琉球人、朝鮮人、モンゴル人、ツングース系民族などでは最も高頻度で観察される。要するに、このグループは東アジアで誕生し、朝鮮半島を経由して日本に渡ってきており、大陸に住むモンゴルや中国、朝鮮半島の人たちは日本人のルーツとなっているというわけだ。
住む国が違えど、人種的には一緒ということなのだから、いがみ合うのではなく、もっと仲良くできないものだろうかと言いたい。
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