2017年11月20日月曜日

社会保障給付費と年金

 2015年度の社会保障給付費が、過去最高を更新し114兆8,596億円(前年比2.4%増)に上ると国立社会保障・人口問題研究所が発表しています。
※国立社会保障・人口問題研究所作成資料を転載させていただいています。
部門別にみると、「年金」がが54 兆 9,465 億円で総額に占める割合は47.8%、、「医
療」が 37 兆 7,107 億円で 32.8%、「福祉その他」が 22 兆 2,024 億円で 19.3%となっています。高齢人口が2.6%増加しているにもかかわらず、年金の対前年伸び率は1.1%となっています。それは何故?
 平成16年度の年金制度改正でマクロ経済スライドが導入されました。マクロ経済スライドは、年金の被保険者(加入者)の減少や平均寿命の延び、更に社会の経済状況を考慮して年金の給付金額を変動させる制度のことをいいます。
 少なくとも5年に1度、年金の財政状態の評価と今後の見通し(「財政の現況と見通し」)を作成する財政検証が行われ(法4条の3第1項)ますので、その際に、将来の財政均衡期間(検証の年以降100年間)にわたり年金財政の均衡を保つことが出来ない(積立金の保有ができない)と見込まれる場合は、年金の給付額の「マクロ経済スライド」と呼ぶ調整を行うとされ(法16条の2第1項等)、政令で給付額を調整する期間(調整期間)の開始年度を定めることになります。そして、2004年(平成16年)の検証により2005年(平成17年)度が調整期間の開始年度とされました(令4条の2の2等)。調整期間は、その後の財政検証で年金財政の均衡を保つことができる(調整がなくても積立金の保有ができる)まで続けられます。
 2015年度は実際にマクロ経済スライドが実施され、年金額の引き下げが行われた年なんですね。だから、高齢人口の伸びを下回る「年金」の伸びに収まったということでしょう。
 加えて、年金支給開始年齢の引き上げの影響もありますよね。1986年4月以前は60歳から支給されていた厚生年金が、2000年の改正で生年月日によって年金の支給開始年齢が引き上げられることが決められました。老齢基礎年金いわゆる国民年金部分は65歳から支給されることになっていますが、老齢厚生年金は、生まれ年によって支給開始年齢が異なります。例えば、私は1958年生まれですので、63歳から支給されますが、1959年4月2日以降の生まれだと64歳から、1961年4月2日以降の生まれの場合だと65歳から支給されることになります。さらに年金支給開始年齢を68歳とか70歳に引き上げようという検討が行われているようですから、当分の間、年金支給はなさそうだという覚悟が要るのかなというようなことを感じています。

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