2017年11月30日木曜日

北朝鮮のミサイル発射

 北朝鮮がまたミサイルを発射しました。日本の排他的経済水域に落下したとのことです。排他的経済水域というのは、「国連海洋法条約に基づいて設定される、天然資源及び自然エネルギーに関する『主権的権利』、並びに人工島・施設の設置、環境保護・保全、海洋科学調査に関する『管轄権』がおよぶ水域のことを指します。」。およそ他国の排他的経済水域にミサイルを打ち込めば、これはもう戦争ということになるわけですが、今回のミサイルも実弾ではなく、あくまで実験ということで、これをもって直ちに戦争行為というわけではありません。
 しかし、事前に通告や相談があったわけでもなく、世界の平和と安定を脅かす行為であることは間違いありません。まるで、世界を相手に戦争を仕掛けたいかのように振舞う最高指導者の金正恩朝鮮労働党委員長に世界的な批判が集まっています。

 彼の行為には理由があるのだろうと思うのですが、それが全く分かりません。本気で世界と戦争したら、おそらくあっという間に北朝鮮という国が消滅してしまうでしょう。それくらい軍備に差がありますし、ましてや、勝利するなんてことはあり得ないでしょう。そもそも、世界は第二次世界大戦の反省に立って、平和を希求しているわけです。21Cこそ戦争のない平和な世紀になって欲しいと思いながら、世界の人々は21Cを迎えました。
 しかし、現実はそう甘くなく、1989年から続くアフガニスタン紛争はまだ火種が残っていますし、2006年にはイスラエル国防軍によるパレスチナ自治区のガザ地区への侵攻(イスラエル軍における呼称は「夏の雨作戦(מבצע גשמי קיץ、英訳:Operation Summer Rain)」)が行われ、今もイスラエルとパレスチナとの紛争は続いています。
 他にも、2003年まで続いた第二次コンゴ戦争、2005年まで続いた第二次スーダン内線、2008年の南オセチア紛争、2011年リビア内戦、2012年におこったマリ北部紛争、2014年ウクライナ内戦、2015年イエメン内戦などが記憶に残っていますが、これでは世界は平和と呼べる状態にはありません。

 なぜ紛争・戦争が起こるのか。宗教間の対立、民族間の争い、主義主張の違い、いろいろ説明できるのかもしれませんが、結局のところ、お金、利益なのではないでしょうかね。かのマルク先生は、資本論の中で「"大洪水よ、わが亡きあとに来たれ!" これがすべての資本家およびすべての資本家国民のスローガンである。それゆえ、資本は、社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命にたいし、なんらの顧慮も払わない。」と言いました。とにかく、今の目先の利益を追い求め、利益のためなら自分以外にどんな不幸が訪れようが知ったことではない、という利己主義の典型のような話ですが、互いに自己利益を求めるあまり、国家間の対立につながった時に戦争が起こっているのですよ。私にはそう見えます。

 夜の日本列島と朝鮮半島の宇宙からの写真を見ると、北朝鮮はほぼ真っ暗です。明るければいいというものではありませんし、日本は明るすぎると私は思いますが、それでも北朝鮮の暗さには驚かされました。北朝鮮の「道路の舗装率3%」とか、「北朝鮮の農民は全員、農業合作社に所属し1日8時間、週6日間働いている」とか、直接見たわけではありませんので真偽のほどはよくわかりませんが、いずれにしても、北朝鮮の経済力は極東アジアの中では一国だけ落ち込んでいる感は否めません。
 金正恩さんの周辺だけは贅沢に暮らしているように見えますが、貧富の差は日本以上に激しいように思います。そしてその富を核兵器の開発につぎ込んでいるわけですが、その目的はつまるところ北朝鮮という国を富ませること、もっと儲けることしか考えていないのではないかと思えて仕方ないのです。

 今回のミサイル発射を受けて、比較的北朝鮮寄りだった中国も、原油の供給をストップするようですし、このままいくとますます孤立を深め、自滅していくことになるんじゃないですか。核兵器をちらつかせての話し合いではなく、お互いに武器を持たずに平和な友好関係を築くために、同じテーブルについて話し合うことがますます重要になっていると思います。

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