2016年1月12日火曜日

こんな本を読んだ

『捏造のロジック』
国の外郭団体である興国科学研究所に勤める研究員・円城寺は、突然センター長の呼び出しを受けた。二年前に論文捏造の疑惑で日本中を騒がせた“PAX細胞”についての論文 が、今になって再び投稿されたというのだ。当時、疑惑の渦中にいた人物たち―一人は失踪、一人は謎の死を遂げているにもかかわらず。いったい誰が、何のために疑惑の論文を投稿したのか。研究成果があがらずクビ寸前の円城寺は、文部科学省に新設された研究公正局から派遣されてきたキレ者役人・二神冴希とコンビを組み、計算科学者など秘密のサポート・メンバーとともに、捏造論文の真相に迫っていく―。といったお話・・

この話、STAP細胞の顛末を思い出しながら読みましたよ。発表直後には、生物学の常識をくつがえす大発見とされ、小保方さんが若い女性研究者であることがマスコミの注目を集め、大々的な報道もあって世間から大いに注目された例の事件ですよ。経過をおさらいしておくと・・
2014年1月の論文発表直後から様々な疑義が指摘され、半年後の7月2日に著者らはネイチャーに掲載した2本の論文を撤回しました。その後も検証実験を続けていた理化学研究所は、同年12月19日に「STAP現象の確認に至らなかった」と報告し、実験打ち切りを発表します。そして、同25日に「研究論文に関する調査委員会」によって提出された調査報告書は、STAP細胞・STAP幹細胞・FI幹細胞とされるサンプルはすべてES細胞の混入によって説明できるとし、STAP論文はほぼ全て否定されたと結論されました。

小説の主人公・二神さんではありませんが、「科学を愛してますか?」と聞いてみたい出来事ですよね。

筆者は東京大学大学院薬学系修士課程を卒業し、製薬会社の研究員をしているという兼業小説家さんのようです。この物語に登場する、円城寺さんはもしかしたらご自身がモデルなのかと思いながら読んだんですが、実に面白く最後まで一気に読み切りました。

化学は得意分野ではないのですが、大変刺激的で僕の知的欲求は大いに満たされたのでした。

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