朝のニュースで高齢者の万引きが増え、しかも、以前は高級品が狙われることが多かったが、今は、食料品などが多いという。
万引きGメンに捕まった男(63歳)は所持金1,000円、これで給料日までの4日間を過ごすのだという。食事は、昨日カップ麺食べただけ・・・で、空腹でおにぎりを万引きしてしまったと言っていた。万引きGメンによると、こうした金がなくて、空腹で盗ってしまうというケースが増えているという。
これが日本の現実なんですね。年金で飯が食えない、定年後の再雇用の給料が低い、新自由主義による貧困の広がりの深刻さの表れだ。テレビのコメンテーターは、モラルの低下を指摘し、これは社会の問題ではないとしていたが、私はモラルの問題ではなく社会問題だと思う。豊かな社会だと思われている日本で、実は、目に見えない形で貧困が広がっていて、まじめに暮らしている人たちが食うに困るという現実がひろがっているのだ。
各地で開設されている「子ども食堂」も、6人に一人といわれる子供の貧困に対して、地域で何とかしようという取り組みの一つだ。数百円でおなか一杯食べさせてくれるということで全国に広がったが、その数百円が出せずに子ども食堂に行けない子もいる。学校の給食が唯一のまともな食事という子どもが夏休み明けにげっそりやせ細って学校に戻ってくるという話を聞いたりすると本当に心が痛む。
何回も書いているが、日本国憲法第25条は、すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると定めている。昨日、カップ麺食べただけで、あと何も食べることができず、スーパーでおにぎりを万引きせざるを得ないところまで追い込まれてしまったり、学校給食がない夏休みにげっそりやせ細ってしまう子供たち、これは、明らかに憲法で定められた生存権の侵害だ。その憲法25条は、第2項でこう規定している。「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と。スーパーでおにぎりを万引きしなくてもちゃんとした食事が摂れること、夏休み中にも子どもの必要な栄養がちゃんと摂取できること、それは国がその責任において保障しなければならないことだと憲法に書いてある。
一方で、憲法で権利として定められている国民生活をないがしろにしながら、もう一方で、戦力不保持を誓った憲法9条を持ちながら軍事費には5兆円も使う。古くなった武器は外国に輸出し、新しい武器を次々に導入する。沖縄に基地を押し付け、他国に例を見ない多額の思いやり予算で米軍を優遇し、TPP反対の公約を投げ捨ててまで強引にTPP協定を推進する。アメリカが風邪をひくと日本がくしゃみをするといわれるような関係をさらに進めていこうという政権与党の真の狙いは、アメリカの51番目の州となることなのではないか。本気でそんなことを考えてしまう。
それにしてもテレビマスコミのレベルの低さにもあきれ果てる。食うに食えずにおにぎりを万引きすることと、転売目的で高額製品を万引きすることの意味の違いを理解しろよといいたい。食うに食えないところまで追いつめてしまったのは社会の問題だろう。そこを見ずに、モラルの低下だとほざいたところで何も状況は変わりはしない。もちろん万引きが良いことだと言っているわけではないよ。社会の仕組みとして、おにぎりを万引きしなくても、命を明日につなぐための必要な栄養は、すべての国民が等しく摂ることができるようにしようよ、と言っているのだ。
なんだか朝から腹の立つ話を聞いた・・
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