2016年2月17日水曜日

パブリックコメント

岡山市が来年から始まる総合事業を前に、岡山市の考えている総合事業についてパブリックコメントを募集している。そこで、次のような意見を提出した。少々認識に問題があることに気付いたが、提出した文章をそのまま残しておくことにした。


介護保険制度は、介護の社会化をめざして2000年にスタートしました。その後の経過を見ると、「介護の会社化」と揶揄されるほど、営利企業が利益の取れる事業(例えば通所介護)に進出し、サービス提供事業所の地域的な偏りが生まれ、利益の取れない事業は、サービスを受けようにも日常生活圏域にそのサービスがないという現実も生まれています。

総合事業は、その報酬が介護保険給付の7割~9割と、今でさえ低い介護報酬をさらに下回ることが計画されています。営利企業は株主利益の最大限の追及が使命だから、利のない事業に進出することはないでしょう。とすれば、介護事業者が総合事業にどれだけ進出してくるのか疑問を持っています。

また、雨後の筍のように、次々に開設される通所介護事業所を見ていると、計画性も何もありません。地域をアセスメントし、それぞれの日常生活圏域でどのサービスが充足していて、どのサービスが不足しているのかといった視点さえないように見えます。

総合事業は、従来の予防給付の一部を含む、健康づくり・介護予防の取り組みとそれを支える地域支えあい活動が中心テーマです。総合事業の内容もさることながら、地域での支えあい活動を担う組織作りが総合事業の成功のカギを握っていると思います。

そうした組織作りのためには、トップダウンで押し付けるというやり方ではおそらくうまくいきません。地域のコミュニティを中心に、しっかり地域のアセスメントを行い、健康課題を明確にして、その課題に対して地域にどのようなコミュニティ資源があって、それらをどうつないで課題を解決していくのかという議論も、地域でしっかり熟議しながら計画を作り上げていくというボトムアップ型の総合事業の中身づくりをやっていくことで、総合事業を地域で支える組織もおのずと出来上がってくると考えます。

私が考える総合事業の中身づくりは、以下のようなものです。

1.日常生活圏域ごとに、まずは自覚的な市民・人材を発掘し、地域のアセスメントを行うこと。
2.地域のアセスメントに取り組む自主的に参加してきた市民を中心に「支えあい推進員」を養成し、「支えあい推進会議」を組織すること。
3.地域のアセスメントから健康課題を発見し、その健康課題を解決していくためのコミュニティ資源をみつけること。
4.地域資源がない場合は、「支えあい推進会議」でコミュニティ資源の開発に取り組むこと。
5.地域の医療・福祉・介護事業所、NPO、ボランティア組織、町内会、民生委員さんなどを支えあい推進会議に巻き込んでおくこと。

限られた財源の中でどれだけやれるか不透明な部分も大きいわけですが、総合事業への移行が既定路線だとすれば、与えられた条件の中でベスト尽くさなければならないと考えておりそのためにもぜひともボトムアップ型総合事業の展開をご検討いただきたいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿