2018年3月1日木曜日

グローバル経済の迷宮 4

 かつて、自動車産業は、日本の製造業と日本経済を支えてきました。しかし、拡大してきたのは海外生産のみです。少し古いですが、グラフを見ると1990年から2014年の推移をみると一目瞭然で、海外生産を1,420万台増やしながら、国内生産は371万台減らしています。今後の経営戦略でも海外生産のみを増やしていく方向です。

 さらに自動車各社の生産システムの改革によって、部品のモジュール化が進み、共通部品やモジュールの組み合わせで、あらゆる車種を生産しようということになっています。従来、一次、二次、三次などの下請けメーカーと一緒に車種ごとに自動車の品質を作り込んできました。モジュール化によって従来よりも桁違いに多い部品やモジュールの供給を下請け企業に求めるようになっており、従来の下請けでは対応できません。自動車産業の下請け企業も、国内企業が切り捨てられ、安い部品を供給する中国企業に変えられてきています。

 自動車製造業の出荷額は52兆円(2014年)で、主要製造業の出荷額の2割を占め、自動車産業の労働者数は雇用労働者の約1割です。「自動車産業は日本の産業を支えるフロントランナー」と言われる所以ですが、今、自動車産業は、下請けも含めて崩壊の危機に直面していると思います。

 国境を越えて、最適地で生産するグローバル企業の経営行動は、本当の意味で、グローバル企業の成長につながるのでしょうか。国民をぼろぼろにし、技術を流出させ、それで企業の繁栄が築かれたとしても、日本の未来は暗澹たるものになってしまうでしょう。国内生産を守り、技術を蓄積し、新しい製造業の姿を創造していくことが日本の製造業全体の大きな課題となっていると思います。


説明を追加2018年2月23日付 しんぶん赤旗

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