安倍政権が医療費削減の標的としたのが入院サービスです。急性期病床で最も報酬が高い7対1病床を10対1病床に転換させる仕組みを用意しました。「7対1」の入院基本料の支払い要件を、「入院患者に占める重症者の割合」が「25%以上」から「30%以上」に引き上げられます。「7対1」を維持するためには重症患者の受け入れが必要となり、「もう重症ではない」という理由で早期退院が迫られたり、より重症な患者を選んで入院させるなどの患者の選別が行われる危険性が指摘されています。
また、テレビ電話を使って受診できる「遠隔診療」への報酬を新設します。医療過疎地域などで歓迎する意見もありますが、直接診療する場合と比べると患者さん状態を把握するための情報が少なくなり、医療の質が担保できないと医療団体が反発しています。
介護報酬改定では、診療報酬の改定に連動して医療的ケアが必要な患者さんを医療から介護へ押し流す仕組みが盛り込まれました。しかし、看護師やリハビリ専門職の慢性的人手不足は深刻で、医療的ケアを介護側で受け取って大丈夫かという不安があります。
医療的ケアの必要な要介護者の長期療養・生活施設として『介護医療院』が新設されます。介護療養病床を廃止して転換するとしていますが、医療体制は縮小します。これで医療が必要な要介護者の療養・生活施設としての役割が果たせるのか疑問です。
訪問介護では生活援助の報酬を抑え、生活援助に特化した担い手づくりで新しい研修制度をスタートするとしていますが、具体的に担い手が集まる保障はありません。
通所介護は規模の大きな事業所の報酬が大幅に引き下げられます。前回改定でも倒産が急増しましたが、今回の改定はさらに倒産に拍車をかけるのではないかと指摘されています。
介護職員の処遇改善でも、他産業との賃金格差はわずかに縮まったにすぎず、介護の仕事に魅力を感じて職業として選択する若者が増える状況にはありません。マンパワーの確保は深刻な状況が引き続き継続することになります。
2018年3月4日付 しんぶん赤旗 |
0 件のコメント:
コメントを投稿