2018年4月14日土曜日

経済四季報

 経済は世の中の成り立ちの根っこの部分であり、この根っこがしっかりしているかどうかで、大きな幹に育つかどうかが決まる。だからこそ、経済の動きはしっかり見ておく必要がある。新聞などいろんなところが四半期のまとめを出しているが、しんぶん赤旗の『けいざい四季報』が国民の立場で書かれており、一番わかりやすいと思っている。その赤旗が、3月28日から4回に分けて四季報を掲載している。

 2018年第一四半期の世界経済を見ると、アメリカのトランプ大統領の極端な米国第一主義が世界経済を揺さぶり、貿易戦争の勃発が懸念されている。

 22日トランプ大統領は中国がアメリカの知的財産権を侵害しているとして通商法301条に基づく制裁を命じる大統領令に署名した。この301条は、大統領が不公正貿易と判断すれば、一方的に関税引き上げ等の制裁を行うことができるというもの。トランプ大統領は、鉄鋼とアルミニウムの関税をそれぞれ25パーセント、10パーセント引き上げる方針を表明。「中国が不当に安い鉄鋼製品を過剰に供給しているために、米国の鉄鋼業界が損失を受けている」だけでなく、「兵器の製造などにかかわる鉄鋼製品を、海外輸入に依存することは安全保障にかかわる」と強調しているが、中国だけでなくヨーロッパ諸国やカナダ等からも強い懸念と反発を呼んでいる。

 米連邦準備理事会(FRB)は11日、3月20~21日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。それによると、米議会が10年間で1.5兆ドルという大型減税を実現させ、2年間で歳出を3000億ドル増やす予算関連法も成立させたことを評価し、FOMCは「税制改革と予算合意は今後数年の生産高を大きく押し上げそうだ」と指摘。
 停滞していた物価上昇率も、すべての参加者が「今後数カ月で上向く」との見通しを示し、多数が2%のインフレ目標の達成に「自信を深めている」と指摘した。実際、11日に発表した3月の消費者物価指数(CPI)は、エネルギーと食品を除くコア指数が1年ぶりに2%を突破。物価の基調はFRBの見立て通り、上向きつつある。
 ただ、FOMCは米政権が3月に発動した鉄鋼・アルミニウムの関税引き上げを巡って議論。議事要旨には「関税自体は大きな影響を持たないが、報復合戦になれば米経済の下振れリスクになる」と明記した。関税引き上げの景気リスクはそう大きくないが、企業心理の悪化で投資や雇用が下振れするのではないかとの不安を表した。
2018年3月28日付 しんぶん赤旗
IMF(国際通貨基金)は、「世界的に経済活動が安定的に拡大しつつある。」としている。2017年の世界経済成長率は3.7%と試算されているが、秋の成長率予測よりも0.1%ポイント高く、2016年の世界経済成長率と比べて0.05%ポイント高くなった。世界的に広く経済成長が加速しているが、とりわけヨーロッパとアジアで成長率が予測を上回る。2018年と2019年の経済成長率予測はともに0.2%ポイント上方修正され3.9%を見込んでいる。
 上方修正された理由は、世界的に経済成長の勢いが増していることと、アメリカで最近承認された税制改革の影響を反映している。
 アメリカの税制改革(とりわけ法人税減税と、設備投資の即時償却の一時的措置)は、経済活動を活発化させると予測されており、2020年までアメリカの経済成長にプラスの影響があり、その年までの累計で経済を1.2%成長させる効果があるといわれている。しかし、この大方の見方にはある程度の不確実性が伴っている。それは、規定の一部が一時的な性質のものであるため、税制改革は2022年以降の数年間、経済成長を鈍化させる効果があるといわれている。2018‐19年合計の世界GDP成長予測を見ると、今回の上方修正の半分が、アメリカの税制改革が国内GDPや貿易相手国のGDPに与える効果に由来するものになっている。
 その一方で、トランプ政権による鉄鋼・アルミニウムの関税引き上げを念頭に「保護主義的な貿易措置は、景況感や投資活動、雇用に悪影響を及ぼすリスクがある」と注目されている。

 環太平洋連携協に署名した12か国のうちアメリカを除く11か国が8日、「包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定」(TPP11)に署名した。TPP11はトランプ政権が離脱を決めたため、発効の見込みが無くなったTPPのほとんど全体を組み込んでいる。TPP11が発効すると、多国籍大企業本位のTPPの中身が実行できる仕組みになっている。ただ、投資家対国家紛争解決(ISDS)条項や、生物製剤のデータ保護期間延長など22項目は、米国のTPP復帰まで凍結される。
2018年3月29日付 しんぶん赤旗
日本経済は約28年ぶりに長いプラス成長を続けいてる。内閣府が発表した2017年10月~12月期の国内総生産は、実質値で年1.6%増と上方修正された。プラス成長は8四半期連続となった。ところが、雇用者報酬は実質値で前期比0.4%減少しました。毎月勤労統計調査では、1月の確定数値では前年比△0.6%となり二か月連続で減少している。
厚生労働省 毎月勤労統計調査
経済は成長しているのに労働者の賃金は低下、労働者は疲弊している。賃金の減少は個人消費の低迷を招き、17年度平均の実質消費支出(二人以上世帯)は、前年比0.3%減少と、4年連続で減少している。
 その一方で、大企業の内部留保は過去最高を更新し、資本金10億円以上の企業の内部留保は419兆円となった。2012年から2017年の5年で比較すると、経常利益は1.55倍、役員報酬は一人当たり1.11倍に伸びている。
 貧富の差は拡大し、超資産家35人の保有総資産額は13兆9700億円に達する一方で、12年から17年までの5年間で金融資産を持たない層は400万世帯も増加している。

 日本品質の信頼が揺らぐ事態が進んだ。神戸製鋼所の不正調査報告書には、目先の利益を追求する経営が受注の成功や納期を最優先する生産至上主義を根付かせたことが記されている。三菱マテリアルのデータ改ざんでは、検査に関わる人員や設備投資が不足し、研修教育が不十分であったことなど、品質保証部門が形骸化していたことが分かった。日本のモノづくりにおける品質の劣化については、以前のブログに書いたとおりだ。 
2018年3月30日付 しんぶん赤旗
仮想通貨流出問題が発生した。仮想通貨がはらむ危険性と課題をあらわにしたが、その一方で、仮想通貨で1億円単位の資産を手にした「億り人」が増えているという現実もある。しかし、1億円の資産といっても、日本円で確定したわけではなく、今マーケット価格で時価評価をしたらそれだけの資産という人がほとんどだ。実現益ではなく、評価益というところがポイントとなる。しかも、確かに資産は増えているが、仮想通貨の価格変動は激しく、もしかしたら一瞬の夢で終わる可能性もある。それなら売却して利益を確定すればいいということになるかというと必ずしもそうはならない。仮想通貨に対する先高観が根強くあって、今売ってしまうと将来の利益を失うことになるかもしれないという不安があり、1億円の評価益を確保した人がそのまま2億円の評価益をめざしてがっちりホールドするということになっている。

 当時の相場で580億円に相当する仮想通貨「NEM」が何者かに不正送金された。犯人側はダークウェブを通して盗んだNEMを交換し、結局、回収できない事態となった。粗雑な管理の間隙を突かれた形だが、私が驚いたのは、コインチェックが盗まれたNEM相当額を全額補償したことだった。仮想通貨を扱うことでそれだけの利益を生むということが信じがたいことだった。仮想通貨は価値の保証のない、実体のない、泡のようなものに見える。その取引だけで交換所には大きな利益が落ちてくるのだとすれば、仮想通貨は何ともいかがわしい感じがして仕方ない。そんな幻に金を払うことに私は躊躇いを覚える。何かをきっかけに、仮想通貨を誰も見向きもしなくなったら、アッという間に無価値なものになる・・・そんな賭けにのるくらいなら、真面目に働いて一日いちにちを大事に生きたほうが良い。仮想通貨は、そんなことを考えるきっかけを私に与えた。
2018年3月31日付 しんぶん赤旗

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