第七条
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
1.憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
2.国会を召集すること。
3.衆議院を解散すること。
4.国会議員の総選挙の施行を公示すること。
5.国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
6.大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
7.栄典を授与すること。
8.批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
9.外国の大使及び公使を接受すること。
10.儀式を行ふこと。
ここから、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、衆議院を解散する行為を行う。」ということになり、内閣に解散権があることが読み取れる。しかし、大事なのは「国民のために、次の国事に関する行為を行う。」と書かれている部分で、国民のためになるのかどうかが問われるのだと思う。
さて、今回の解散は、国民のためになるのかどうかが検証されなければならない。国政の上で今国民の関心が集まっているのは、国内問題では「モリカケ」問題は結局何が真実なのかということだし、安倍首相はアベノミクスの成果を強調するが国民の実感としては暮らしは苦しくなる一方で、このままアベノミクスを続けることが是か非かということだったりする。国際問題では、北朝鮮の軍備強化・核保有と核兵器使用の可能性だったり、それに対して北朝鮮も含めて国際的に非核化を進めることが大事だという提起があり、被爆国日本としてその流れを太く大きくするためにどう動いていくのかということだったりする。
そういう国民の国政への期待に応える解散なのかどうかといえば、応えは否である。前にも書いたが、国会が始まると「モリカケ」問題の追求が始まるし、民進党が離党者が相次ぎ求心力を失くしている今なら総選挙で勝てるかもしれないし、そうすれば政権の寿命をのばすことができるので、今度こそ憲法改正をやりたい、そんな私利私欲で解散に踏み切ったようにしか見えない。
また、憲法69条にも解散に関する規定がある。
第六十九条
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
こちらの規定ははっきりしていて、内閣不信任案が可決されたときに、総辞職をせずに、不信任を決めたことに対抗して、衆議院を解散することができることになっている。
今回の解散は当然のことながら第69条による解散ではない。先に見たように、国民のためという大義があるわけでもない。とすれば、今回の解散は内閣の職権乱用解散と見るべきだと考える。そんな自公政権を勝たせてしまっては、これまでの立憲主義を否定し続けた安倍内閣を信任することになるし、安倍首相の側用人政治を肯定し、安倍内閣を延命させることになってしまう。それは国民の暮らしにとって平和と安心が損なわれることを意味する。ならば今度の選挙どうしたら良いのか、国民一人ひとりがよく考えて行動するべきだ。
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