参議院議員選挙の争点、二つ目はアベノミクスの評価。そもそもアベノミクスとは何だったかを見ておく。アベノミクスは次の三つを基本方針としている。
1 大胆な金融政策
・2%のインフレ目標
・無制限の量的緩和
・円高の是正とそのための円流動化
・日本銀行法改正
2 機動的な財政政策
・大規模な公共投資(国土強靭化)
・日本銀行の買いオペを通じた建設国債の買い入れ・長期保有
※ただし国債そのものは流動化
3 民間投資を喚起する成長戦略
・「健康長寿社会」から創造される成長産業
・全員参加の成長戦略
・世界に勝てる若者
・女性が輝く日本
首相官邸のホームページを見ると、次のように書いている。
「どれだけ真面目に働いても暮らしが良くならない」という日本経済の課題を克服するため、安倍政権は「デフレからの脱却」と「富の拡大」をめざしています。これらを実現する経済政策がアベノミクス「3本の矢」です。
大胆な金融政策で市場に流通するお金を増やし ⇒ 機動的な財政支出で10兆円規模の経済対策予算により政府自身が率先して需要を創設し ⇒ 規制緩和等でビジネスを自由にすることで民間投資を喚起し持続的な経済成長(富の拡大)をめざす
「アベノミクス」から3年、日本経済はどうなったか。首相官邸がアベノミクスは機能しているといくら声高に主張しても、個人消費は冷え込み、GDPも大幅に落ち込むなど紛れもなく日本経済は悪化している。
日銀の異次元の金融緩和やGPIF(年金基金)投入等によって金融市場だけは活況を呈してきたが、今年に入って株価も下がりはじめ、官製相場の力業でやっ
とこさっとこ保っている状態だ。確かに大企業の業績は上がり、富裕層や外国人投資家は多いに潤った。しかしそれは一握りの人たちへの富の集中と、圧倒的多数の国民の貧困化をもたらした。福祉切り捨てによる個人負担の増加、物価高、消費税の5%⇒8%経の増税、給与水準の連続的低下などで、1億総活躍社会ど
ころか1億総貧困社会へ転落している。
日銀は量的緩和によって250兆円近い国債を抱え込み、それだけの金を市場に放出したが、金融機関の間を行き来するだけで一般には回らず、GDPは約6割を占める個人消費が冷え込み、住宅投資もマイナス、企業の設備投資もマイナスと日本経済は明らかに悪化した。
賃金水準は安倍内閣の3年間下がり続け、円安にともなう物価高と消費税増税のダブルパンチで個人消費は落ち込んだ。安倍内閣の3年間で非正規雇用が
1775万人から1953万人となり約10%増加する一方で正規雇用は3370万人から3314万人と56万人減少している。年間200万円以下の賃金で
働く労働者は全雇用労働者の28%を超え、所得税・住民税・相続税の増税、子育て給付金の廃止や介護報酬・診療報酬の削減、生活保護費・年金支給額の削減など社会保障の切り捨てが進み、 消費税の8%への増税、物価上昇など国民生活の困難が押し付けられてきた。
こう見てくると、アベノミクスは第一の矢が放たれ市場に流通する金が増えたところまでは実行された。しかし第2、第3の矢は、誰が見ても失敗であり、「アホノミクス」と揶揄されるのも頷けるという状態にある。今、日本経済を成長路線に転換するには、アベノミクス路線からは速やかに撤退し、国民生活を温める政策の具体化が求められている。そのためには、今度の参議院選挙、政権与党に痛打を与える選挙にしなければならないと私は考えているのだ。
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